自然界の有機的な要素や質感を抽象化
The Massでは、サム・フリードマンの日本初個展「ルーム・サービス」を、5月28日(土)〜6月26日(日)の期間で開催する。
フリードマンの作品は、滑らかで流れるようなラインの繊細さと、色彩のグラデーションが特徴的。形式的な美学を根源とした絵画アプローチを続け、自然界に見られる有機的な要素や質感を反映した抽象的な作品を生み出している。代表的なCave Paintingsシリーズは、彼の初期の具象作品の中で生まれ、抽象化と反復の中でそのスタイルを確立してきた。
その後、フリードマンの作品は展示の度に微妙なプロセスの変化を見せており、これらの変化は抽象と表現の間を循環的に行き来している。このプロセスについてフリードマンは『絵画が(自分自身を)支配するようになる』と発言。フリードマンはこのプロセスを受け入れ、作品に自らの方向性を見出させることで、 好奇心と無限の可能性に満ちたイメージを創り出しているのだ。
フリードマンの作品は、クリフォード・スティルやバーネット・ニューマンといったアメリカの抽象表現主義の画家の伝統を受け継いでいるが、彼の参照するポイントははるかに幅広く、具象画や風景画、日本の木版画にも目を向けているものといえる。フリードマンの作品をよく見ると、色彩のグラデーションは区切られた線から形成され、互いにシームレスに移行していることがわかる。その線と形は枯山水の砂紋を連想させ、絵を描くという繰り返しの行為が、石庭の砂利を砂熊手を使いかき分ける行為と同等の瞑想空間を作り出しているのではないだろうか。
日本にルーツを感じさせる、フリードマンの作品。日本のカルチャーの中心地・原宿で、彼の作品世界とその背景にあるプロセスに思いを馳せてみよう。
■概要
サム・フリードマン個展「ルーム・サービス」
開催期間:5月28日(土)〜6月26日(日)
営業時間:12:00〜19:00
開催場所:The Mass
住所:東京都渋谷区神宮前5-11-1
電話番号:03-3406‐0188
※お出かけの際はマスク着用の上、こまめな手洗い・手指消毒を行い、混雑する時間帯、日程を避けるなどコロナウィルス感染症対策を十分に行いましょう。
>>EDITOR’S VOICE
The Massの近くには、フェンディ(FENDI)が原宿表参道欅会と共に発足した「TSUNAGU – 表参道 ストリート アート プロジェクト – (TSUNAGU – Omotesando Street Art Project –)」を見られる仮囲いが。カラフルで美しい動物たちの、生き生きとした姿が描かれています。
Text:Arisa Watanabe
INFORMATION
サム・フリードマンが日本初個展「ルーム・サービス」をThe Massで開催
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前5-11-1
- 電話
- 03-3406‐0188
- 営業時間
- 12:00〜19:00
- 定休日
- 月・火曜日
