
人の数だけ、部屋があり、物語がある
“顔をみて、どんな部屋に住んでいるか想像つく?”
2022年4月15日(金)〜18日(月)に開催された企画展「どんなへや 〜100人の顔と部屋〜」に行ってきた。すでに展示は終了しているものの、原宿をスタート地点とし、この先も続いていくプロジェクトなので、ログとして残しておきたいと思う。
主催者である桜ちゃん(写真家・中山桜)とは以前から交流があって、普段から仕事で撮影をしてもらったり、桜ちゃんの音楽ユニット「市民プールガールズ」のライブへ行ったり(OMOHARAREALでは「SEASONS」企画にも参加してくれている)。彼女の撮る、飾らない写真がとにかくすき。
今回開催された「どんなへや 〜100人の顔と部屋〜」は、タイトルの通り100人の「顔」と「部屋」の写真を展示する企画。桜ちゃんがこの企画のために、日本全国を奔走していたのを知っているので、勝手に感慨深い気持ちになりながら、会場へ。
場所は、原宿駅から歩いて約6分のA.F GALLERY。きゃりーぱみゅぱみゅなどが所属する芸能事務所として、また原宿カルチャーを発信し続けるイベント企画などでも知られるアソビシステムが運営するギャラリーだ(本企画にも企画制作として参加している)。
私が行ったのは、3日目(4月18日)のお昼すぎ。連日盛況だったみたいだけど、この日ももちろん大盛況。私が帰るまでの間も、その後も続々とお客さんが来ていた。
ギャラリーの壁や窓に貼られているのは、正面から撮影した「人」の写真と、その人が住む「部屋」の写真。人物ごとに番号が振られているので、入り口で配られるマップと照らし合わせながら見て回るのが、この企画の醍醐味。
マップの裏面には100人の名前と職業がズラリ。「顔をみて、どんな部屋に住んでいるか想像つく?」という問いかけの通り、写真を観ながらどんな職業で、どんな部屋に住んでいるのかを想像して答え合わせしていく。
ほとんどが知らない人なので、人の家をこっそり覗き見しているような、ちょっとイケナイ気分も味わえる。
「部屋」といえば、いわゆる“おしゃれインテリア誌”に出てくるような部屋を想像するかもしれないけれど、この企画展に登場する部屋はそんなんじゃない。いい意味で、ちゃんと生活感が漂うリアルな部屋ばかり。
物が散乱してたり、洗濯物が干しっぱなしだったり、酒の空き缶や食べ物が散乱していたり。「え、ちゃんとアポ取ってから行ったよね?」と聞きたくなるくらい。見た目や職業から想像する通りの部屋もあれば、中には想像とはギャップがありすぎる部屋もあった。
作り込まれたオシャレ部屋にはさほど興味がない私だけど、このノンフィクション感満載な部屋たちは、なんだかとっても気になってしまう。
中には、俳優のMEGUMIさんも(中央)。
大阪・西成で出会ったという、まっちゃんとのエピソードも超好みだった。笑顔がキュートなおじいちゃん。
そんなこんなで、100人全員を、名前や職業と照らし合わせながら観て回っていたら、気づけば時間がめちゃくちゃ経っていた。多分観に来ているみんなが、そんな感じ。
「この人の職業、せーの!」みたいな遊びをしている人たちもいて、めちゃくちゃ平和な世界。
階段上のキャンバス作品は、展示のメインビジュアルやグッズを担当したイラストレーター・Banbuさんのアート。
99部屋目は、沖縄・久米島に住む桜ちゃんの両親、100部屋目は桜ちゃん本人(この企画の撮影を進めている期間中に、引っ越し先が見つからず、自分の部屋を失いそうになったらしい……。今は友人の所有する、使っていない部屋に住んでいるそう)。
ギャラリーの中央には、ブルーを基調とした「桜のドリーミー部屋」が。記念写真はここで!
「中山桜」を象徴するフィルムや、酒のつまみなどがベッドに。散らかってるってカワイイな。
最後に見送ってくれた桜ちゃん。
「1人で来ても私がいるから大丈夫!」とSNSで告知していた通り、知り合いも知り合いじゃない人も、お客さん全員に声をかけながら歩き回っていて、個展あるあるの“知り合い以外アウェー”みたいな空気感が全くなかった。普段からコミュ力の塊だけど、改めてすごいと思った。
今回の展示のステートメントには、こんな言葉も。
“部屋は時代と共に移り変わるものだと考えています。 人柄だけではなく、時代も映すもの。この展示で、「今」を感じて欲しい。 そして、月日が経ち、過去となり、時代になり、完結することはない企画になるのを望んでおります。”
“「他人に興味がない」「他人と関わりが薄い」今の時代だからこそ、 少しだけ他人に興味を持って見ませんか?”
「人の数だけ、部屋があり、物語がある」
気づけば、なかなか他人の部屋に行く機会がなくなった今。久しぶりに「人」のパーソナルな部分に触れた気分。
それと同時に、自分がこれまで住んでいた部屋って「どんな部屋だったっけ」と振り返ってみた。考えてみれば、自分の部屋を撮ったことがないなと気づいてしまい、なんだか寂しくなる。あの部屋、どんな部屋だったっけ……。
今住んでいる部屋を、急いで写真に収めた。
■どんなへや
まだまだ続く「どんなへや」プロジェクト。色々なコラボや続編が生まれていくはずです。
(表参道・原宿に住む人や働く人たちの「オモハラどんなへや」も観てみたい!)
最新情報は、公式Instagramアカウントにて!
Photo & Text:miwo tsuji