五感を刺激するショップ・カフェ・スクールが誕生
2021年9月23日以降、ビルの解体工事のため営業を休止していた青山フラワーマーケット 南青山本店。表参道周辺で久しぶりの友人やお世話になった人に会う際、ちょっとしたお花を買いたい時、よくお世話になっていたフラワーショップである。
そんな青山フラワーマーケット 南青山本店が、満を時してリニューアルオープン。青山通りから骨董通り・小原流会館の先を左に曲がったところに、カフェ・スクールを併設したフラッグシップショップとして生まれ変わった。名前の通り青山を代表するフラワーショップのひとつとして親しまれてきた、“青フラ”。新しく生まれ変わった店舗をこの目で見たい!というわけで、さっそく内覧会へ行ってきた。
当日はあいにくの雨模様である。しかし、店内に一歩入ればたくさんのバラが咲きほこり、華やかな香り漂う空間はローズガーデンにいるような感覚に包まれた。テーマは「1万本のROSE PARTY」ということで、たくさんのバラを展示販売していた。これだけ種類も数もたくさんのバラを、見る機会はおそらくそうはないだろう。青山フラワーマーケットでも10年に1度の規模でバラを集めたそうだ。
新店舗のコンセプトは「with Nature」。大自然の中に花屋があるような感覚をイメージして作られたという。ところどころに、木、石、水など自然のマテリアルが散りばめられているのが特徴で、圧巻は1Fフロア中央に据えられた4mの樺桜の巨木。幹の周りをバラの花が彩り、森の中の倒木に花が咲き乱れているようだ。
国内外で賞を受賞した品種・生産者を紹介する「THE FLOWER」というコーナーや天井から吊るされたグリーン、水場など見どころはたくさん。
2Fは約1000種類の花瓶を扱う「FLOWER VASE GALLERY」。色やテーマ別に形も用途もさまざまな花瓶が展示されており、花瓶を見ながらどんな風に、どんな花を飾るかという想像が膨らみあっという間に時間が過ぎる。
樹齢500年のオリーブの木の根本を輪切りにした什器や古民家で使われた古材を再利用し柱として据えていたりと、「with NATURE」のコンセプトを体現する内観になっている。花瓶だけでなく、柱にも手を伸ばし触れてみたくなるような感覚は、山や野で遊んでいた幼少期を思い起こさせる。
青山フラワーマーケットが運営するカフェ「青山フラワーマーケット ティーハウス 南青山本店」とフラワースクール「ハナキチ」が隣接。みずみずしいグリーンが生い茂る森のようなエントランスを抜けると、農場のハウス(温室)をイメージした空間が広がる。鬱蒼としたグリーンや、飾られた花々に目を奪われ、思わず見渡してしまう。
かつて青山フラワーマーケットの代表がイタリアのパンジー農園を訪れた際、生産者が温室で紅茶を振る舞ってくれたのだそう。温室で紅茶を嗜むという粋な振る舞いに感銘を受け、思い出のワンシーンをカフェスペースに反映した。
自家製のフレンチトーストと香り豊かなハーブティーでホッと一息。テーブルのバラを眺めながらのティータイムはなんとも心が落ち着く。さくさく感を残しつつ、優しい甘みがじんわりと溢れ出るフレンチトーストは絶品。酸味のあるフルーツソースとの相性も抜群だった。飾りの花まで召し上がれ。
月替わりで飾られる旬の花は、目線の高さに調整されているという。自然と視界に入ってくる絶妙なバランスで、心地が良い。
奥はフラワースクール ハナキチのスペースになっており、こちらは花小屋をイメージした空間になっている。
内覧会のスクール体験ではバラのアレンジメントを作成。スクールではアレンジメント、ブーケの他、花活けも学べるという。気軽かつ、日常に取り入れやすいメニューを提案していく。
ただ移転しただけではなく、この場所で青山フラワーマーケットだからこそ実現できる、全く新しい店舗へと生まれ変わっていた。都会の中にありながら、雄大な自然の中にいるような空間で、目で見る美しさのみならず香りや音、感触、五感で花の魅力と生命力を感じることができるだろう。
表参道・原宿は大小さまざまな、個性溢れるフローリストが集まる花の街でもあるとOMOHARAREALは考えている。そんな印象をさらに際立たせるショップが誕生した。
■青山フラワーマーケット(Aoyama Flower Market)南青山本店
住所:東京都港区南青山5-4-41 グラッセリア青山 1F
電話:03-3486-8787
営業時間:10:00~20:00/日祝 10:00~19:00
定休日:不定休
URL:青山フラワーマーケット
■青山フラワーマーケット ティーハウス 南青山本店
電話:03-3400-0887
営業時間:8:00-19:00
■フラワースクール ハナキチ
電話:03-3793-0704
営業時間:10:00-21:00(土日祝は19:00まで)
Photo & Text Tomohisa Mochizuki