買い物ついでに、サステナブルなアイテムが制作可能!?
アップサイクルやサステナブル。世の中にとって何となく良いことというのは分かっている。しかし、何かしたいけど何をしたらいいのかわからない。そんな人も多いのではないだろうか。自分もその1人である。
昨年7月、神宮前にオープンした「NewMake Labo」では手軽にそんなモヤモヤを解決してくれる画期的な取り組みを行っている。ここはブランド企業から提供された余剰品や廃材を再利用してアップサイクルを行うことで、誰もが作り手として参加できるコミュニティ「NewMake」の制作拠点だ。
「NewMake Labo」はオープンから約半年が経った現在、登録会員数が600名を超えているという。初心者でも参加が可能なのか、不器用でもアップサイクルはできるのか、といった疑問を解決するべくあらためて「NewMake Labo」で体験取材をさせてもらった。
アップサイクルとはサステナブル(持続可能)なものづくりにおける新しい手法のことで、“創造的再利用”とも形容される。具体的にはリサイクル(再循環)のように原料に還元して再利用するのではなく、余剰品や廃棄品を使い、更なる価値を創造しアップグレードするのだ。創作するものは服やバッグ、財布やポーチなどさまざま。
取材に協力してくれたのは「NewMake」のディレクターを務める吉村真由さん。「NewMake」を運営するSTORY&Co.に所属する吉村さんは、とある超有名テーマパークの舞台衣装を手がけていたというすごい人。ミシンの扱いもお手の物だ。
まずは作るものを決める。何を作っていいのか分からないが、何か作りたいという人でも大丈夫。吉村さんいわく、イメージを持っていなくても使える素材などから考えるのもアリとのこと。吉村さんからの提案でColemanのテントの端切れを利用して制作することに。
初心者でも簡単なものをということで、ポーチを作ることにした。今回は会員の人たちが使ったさらに残りの素材を使わせてもらう。とにかく、材料を無駄にしないことが肝要。
まずは、適当な大きさに生地を裁断する。ベースとなる箇所、装飾部分をざっくり切り出す。紐止めや紐など、ジップといった細かなパーツはLaboの中にあるものから自由に選んでいく。宝探しのようで楽しい。
素材が揃ったらさっそくミシンをセッティング。「NewMake」のInstagramアカウントが初心者向けにチュートリアル動画を配信しているので参照するといいだろう。
学校に置いてあるミシンとは違い、Brother社が提供している一般用のミシンなので、返し縫いや糸も自動で切ってくれるので初心者でもお手軽に使える。
学校の授業では勝手に苦手な意識を抱いていたけれど、久々にミシンのペダルを踏んだらなんだか気持ちが高まる。縦と横を縫い合わせたら袋の形に。さらにマチを塗って巾着の形を作っていく。
袋の形ができたら、装飾部分を縫い付ける。
装飾部分はこんな感じ。紐を通す部分をぐるっと縫えば完成は間近だ。
吉村さんはLaboに常駐しており、気軽に声をかければやり方を教えてくれる。優しく褒めてくれるので上手だと勘違いして、針を落とす速さも上がり作業スピードがアップ。
最後に紐通しを使い、紐を通したら完成。
途中で紐通しから紐が抜け落ちないように注意(一回やり直した)。
完成までおよそ1時間ほど。服飾学校の学生さんが作ったというコートは、制作したポーチと同じ、Colemanのテント素材を使ったアイテムとのことで勝手にコラボレーションさせてもらった。
クオリティは段違いだが、やはり自分の手で縫ったものは愛着が湧く。ポーチのつもりで作っていたが、クライミングのチョークバッグのような武骨な雰囲気がグッド。
「NewMake」の会員になるには専用のオンラインページから登録するだけ(登録ページは記事末の概要欄に記載)。登録しておけば、プロジェクトへの参加の知らせなど、最新情報が受け取れる。クリエイターや服飾を専門とする人たちがいる一方で、親子でものづくりをしたい主婦の方や、サステナブルに関心の高い若い世代の人も増えており、ミシンを扱ったことがない人も多いという。初心者の方が上級者の方に教えてもらったり、会員同士のコミュニケーションも自然と発生している。
なんと利用料や登録料は全て無料。NewMakeはミシンから素材まで様々な企業やブランドから寄付を受けて成り立っている。場所は提携している東急不動産の協力により、運営コストを極力抑えられているとのこと。地方から参加する人もいるなど吉村さんは手応えを感じている。地方への展開も考え、ローカルと表参道をものづくりで結ぶ拠点を増やしていきたいと話してくれた。
近所の内装屋さんがパイプ椅子をアレンジしたという「IIISU(イイイス)」。好評のため近々、展示会が行われる予定。このように「NewMake」からブランドとして独立するケースも今後増えてきそうだ。
実はこれもColemanの素材をアップサイクルしたもの。カッコ良すぎる。
NewBalanceやadidas、各メーカーから提供された100足のスニーカーをアップサイクルしたプロジェクト「100Sneakers100NewMakers」(東急プラザなどで展示され現在は終了)などスニーカー好きな人にとっては、夢みたいなプロジェクトも。直近では阪急うめだ本店とコラボした別のプロジェクトが控えるなど、「NewMake」を通じてブランドと協業し、自身のクリエイティブを発揮するチャンス。
表参道・原宿の街でもサステナブルな取り組みを行うブランドや企業は多く、アップサイクルされた製品はシンプルに魅力的なものが多いと感じている。目にしたり、買ったりすることはあっても自分の手で作る機会はなかなかない。関心はありながら、個人的に不器用なこともあって、敷居が高く感じてしまっていたが、NewMakeはそのハードルを取り払う気軽さが魅力だ。
ものづくりへの苦手意識もすっかり忘れて、時間を忘れて楽しんだ。買い物や待ち合わせ、合間の時間にものづくりにチャレンジできるだけではなく、それがサステナブルな取り組みに繋がっているというのも嬉しい。家族や友達、恋人など、仲の良い人と訪れても、充実した時間が過ごせるだろう。NewMakeという創造の扉はいつ何時でも、誰にでも開かれていると感じた。
■概要
「NewMake Labo」
東京都渋谷区神宮前6丁目6−2 原宿べルピア 104
営業時間:13:00~19:00
休業日:日・月曜日
運営:株式会社 STORY&Co.
会員登録申し込みページはこちら
※新型コロナウィルス対策のため、当面の間は完全予約制でのご利用となります。
また営業日時に変動がある可能性があるため、最新情報はNewMakeのInstagramにてお伝えします。
※お出かけの際はマスク着用の上、こまめな手洗い・手指消毒を行い、混雑する時間帯、日程を避けるなどコロナウィルス感染症対策を十分に行いましょう。