
未来のための、ファッションの楽しみ方とは
ファッションの中心地、表参道・原宿エリア。この場所で、衣服の未来について考えてみては? 編集部員が今回訪れたのはITOCHU SDGs STUDIOで開催されている「未来の試着室」展。衣服をテーマに、未来に向けて一人ひとりができるアクションを考えるきっかけが提供されている。
本展に込められたメッセージ。毎日何気なく着ている服の過去と未来について、改めて考えさせられる。
内部には5つの試着室が。「革新を着る。」「わたしを着る。」「森を着る。」「文化を着る。」「循環を着る。」というテーマに沿って、サステナブルなブランドの衣服が紹介されている。
まずは「革新を着る。」というテーマ。展示されている「KUROZOME REWAER PROJECT“K”」は、100年以上黒染めを追求してきた「京都紋付」が展開するプロジェクト。着古した服を黒染めで蘇らせるサービスだ。
例えば、汚れてシミがついてしまったワンピースも、黒染めをすることで新しい服として楽しめる。一つの服で二度楽しめるのは、買う側からしても嬉しい。
「わたしを着る。」がテーマの「UNITED CREATIONS 041 with UNITED ARROWS LTD.」では、障がい・病気を抱える方の悩みに向き合い生まれた服が展示されている。
例えば、一部に給水速乾素材を用いた「スタイにもなるエプロンドレス」&「ZIPTシャツ」。ヨダレや汚れに強く、Tシャツは両サイドの二本のファスナーを同時に開けると口元がふける仕様。これは子ども服としてもとても便利な作り。
このように、これまでマイノリティとされてきた悩みに向き合った結果、多くの人が求める服が誕生した。ファッションを通して、障がいと健常の間に垣根はないことに気付かされる。
「森を着る。」がテーマの「Kuura®」は、環境に優しい繊維ブランド。成長・伐採・植林が管理され、木材の持続的な活用が可能であるフィンランドの森の木から生まれた「製紙用パルプ」から作られた繊維だ。
「環境に優しい繊維」で作られた服と言うと、好きなデザインを我慢しなければならないイメージもあるかもしれない。しかし、「Kuura®」の服はデザイン性が高いものばかり。デザインとしての好みと、環境配慮の両立ができると知ると、エシカル消費へのハードルが下がる。
「文化を着る。」がテーマの「Pheeta」は、世界の優れた服飾技術を継承することで、長く愛用できる服を展開している。
インドの「リバース・アップリケ」という手法を用いたこちらの服。胸元の繊細な刺繍を手作業で行っているというから驚きだ。
服の背景を知ると、愛着もグッと沸き、大切に着ようという意識が芽生える。
最後は、「循環を着る。」がテーマの「RENU®」。衣服の生産時に出た残反・裁断くずや、要らなくなった服をリサイクルし、作られた「糸」のブランド。
驚くのは、糸から作られた生地のバリエーション。本来、ゴミになるはずだったものから、服だけではなく、カバンやランドセルにまで生まれ変わる。これだけ選択肢があるのなら、服を購入する際に素材にも注目したくなる。
また、デニム製品の裁断くずなどの捨てられるはずだった繊維ごみを使用した家具「STELAPOP」のカフェスペースも併設。
デニムの風合いが、いい味を出している。
カフェの奥では、今回の展示に合わせて現在放映されている伊藤忠商事の新CMと、各ブランドの訴求動画も流れている。ドリンクを飲みながら、展示内容についてより理解を深められる。
ファッションのトレンドが集まるこの街は、素晴らしい服との出会いに溢れている。選ぶ際に、未来のためになる視点も取り入れたら、もっとオシャレが楽しくなるかもしれない。そう思う展示だった。
■概要
「未来の試着室」展
開催期間:1月22日(土)〜2月27日(日)
営業時間:11:00~18:00
開催場所:ITOCHU SDGs STUDIO
住所:東京都港区北青山2-3-1 Itochu Garden B1F
休館日:毎週月曜日
※月曜日が休日の場合、翌営業日が休館となります。