奈良美智に仮面ライダー “模倣”と童心の探求
神宮前3丁目の現代アートギャラリーNANZUKA UNDERGROUNDで1990年生まれのインドネシア人アーティストRoby Dwi Antono(ロビィ・ドゥウィ・アントノ)の個展『RUMPUS』が2022年2月6日(日)まで開催中。本展示はNANZUKAにおけるアントノのデビュー個展となる。NANZUKAは香港アートバーゼルの際にアントノをピックアップしており、アートフェアでの展示を経て満を持しての実現となった。NANZUKA UNDERGROUNDの他、NANZUKA 2G、3110NZ の3箇所にて同時開催されている。
世界中にいる、絵の好きな子供に共通する“模倣”から派生したアントノの作品は、Mark Ryden(マーク・ライデン)や奈良美智、ハビア・カジェハといった自身が敬愛するアーティストや、ウルトラマン、仮面ライダー、ゴジラ、ドラゴンボールなどといった日本の漫画、映像文化からの影響を色濃く示唆。その純粋かつ知的な探求の積み重ねによって、現在も日々変化と進化を繰り返している。
展覧会は、キャンバス・ペインティングとドローイングのシリーズによって構成され、あたかも子供の落書きのように見える。事実、幼少期に父の工房で仕事を手伝う傍ら、路上に木炭の欠片で描いた恐竜や漫画の絵が原風景となって生まれた。「筆やオイルパステルの落書きで自分を表現することは、カタルシスだ」とアントノは語る。
本展覧会のタイトル『RUMPUS』(ランパス=大騒ぎ)は、2010年にスパイク・ジョーンズが映画化したモーリス・センダックによる1963年作の児童向け絵本「かいじゅうたちのいるところ」にインスピレーションを得ている。この映画の中にある「野生の大暴れを始めよう!」という発言に着目し、この物語の一貫したテーマである「幼少期の感覚」を、自身の新作シリーズの核と位置付けた。
記憶のおもちゃ箱をひっくり返し、それを丁寧に拾い集め並べ直したかのような本展示。「こうして集められた視覚的な記号は、新しい意味や感情を生み出す可能性を秘めているのです」とアントノは本展へのコメントを結ぶ。アントノのやんちゃな感性と記憶の原風景が、NANZUKAという依り代を通じて原宿の街に飛び出してきた注目の展示だ。
■作品画像クレジット
(画面左から)
1枚目:ロビィ・ドゥウィ・アントノ Roby Dwi Antono Once Upon A Time I 2021 Oil stick, oil pastel, pencil on reverse canvas H200 x W180 cm
2枚目:ロビィ・ドゥウィ・アントノ Roby Dwi Antono I Remember l 2021 Oil stick,oil pastel, pencil on reverse canvas H200 x W180 cm
Roby Dwi Antono,RUMPUS,NANZUKA UNDERGROUND,Tokyo,2022
©Roby Dwi Antono Courtesy of NANZUKA
■概要
『RUMPUS』Roby Dwi Antono
会期:2022年1月9日(日)〜 2月6日(日)
会場:NANZUKA UNDERGROUND
住所:東京都渋谷区神宮前 3-30-10
電話:03-5422-3877
開廊時間:火〜日曜日 11:00-19:00
休廊日:月曜日・祝日
同時開催:NANZUKA 2G・3110NZ by LDH kitchen
(他会場の詳細はNANZUKAのウェブサイトを参照)
※お出かけの際はマスク着用の上、こまめな手洗い・手指消毒を行い、混雑する時間帯、日程を避けるなどコロナウィルス感染症対策を十分に行いましょう。
>>EDITOR’S VOICE
Roby Dwi Antonoと同年代、1990年生まれの造形作家・池内啓人の個展が同時期にミヤシタパーク3FのギャラリーSAIにて開催中。BALENCIAGA 2022年春コレクションのキャンペーンでのコラボレーションも記憶に新しい、唯一無二の感性をもつ気鋭作家の大規模個展は圧巻だ。
Text:Tomohisa Mochizuki
INFORMATION
Roby Dwi Antonoの個展『RUMPUS』がNANZUKA UNDERGROUNDで開催
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前 3-30-10
- 電話
- 03-5422-3877
- 営業時間
- 火〜日曜日 11:00-19:00
- 定休日
- 月曜日・祝日
- 開催期間
- 2022年1月9日(日)〜 2月6日(日)
