ラフォーレ原宿の新カルチャーハブスポット「BE AT STUDIO HARAJUKU」レポート。BE AT TOKYO /BEAMSコミュニケーションディレクター土井地 博が案内する創造の箱庭
アート・映像配信・シェアスペースに巨大ガチャガチャ!?「TOKYOの何でも屋さん」が手がける感性の交流装置
株式会社ライゾマティクスで培われてきた総合的なクリエイティブをベースに、テクノロジーとデザインで革新的なコンテンツを創出する株式会社フロウプラトウと、ファッションを軸にいまや宇宙服までプロデュースするなど時代を牽引するライフスタイル企業、株式会社ビームスによる共同プロジェクト「BE AT TOKYO」。そのコンテンツをオンラインとリアルの双方向で発信する「BE AT STUDIO HARAJUKU」が、ラフォーレミュージアム原宿において史上初めてとなる約一年という長い期間の中で運営されている。
「次の時代を担う才能の種を見つけ、世の中に広げ、文化を育てていく『仕組み』をつくる」ことをビジョンに掲げる「BE AT TOKYO」が仕掛ける「BE AT STUDIO HARAJUKU」とはどんな場所なのか。株式会社ビーアット代表取締役・土井地博さんに案内してもらった。
土井地さんはBEAMSのコミュニケーションディレクターであり、長年同社の宣伝販促、PRを行い様々な企画を実行し「BEAMSの何でも屋さん」として知られる人物だ。「BE AT TOKYO」のプロジェクト発足に伴い、株式会社ビーアットを立ち上げ代表取締役として 「もっと面白い東京を発掘したい」と音頭を取っている。
プロジェクトの冠である「BE AT」には土井地さん曰く「ここで何かを発見し、創造してほしい」という意味を込めて「ここで」を表す単語と、「鼓動」を表す“BEAT”のダブルミーニングになっているそうだ。今回誕生したコミュニティスペース「BE AT STUDIO HARAJUKU」には公私にわたり活動してきた土井地さんならではの、異なる波長をミックスし繋ぎ合わせる工夫が散りばめられていた。
メインビジュアルやロゴを手掛けたのはHOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE、パルコなどのグラフィックを手がけ、東京オリンピック・パラリンピックのオフィシャルライセンス企画「東京2020公式アートポスター」に参加、制作したデザインユニットGOO CHOKI PAR(グー・チョキ・パー)が担当。
正方形が連なったデザインは「BE AT STUDIO HARAJUKU」のコンセプトを象徴している。小さなアパートの一室からカルチャーが生まれた歴史がある表参道・原宿エリア。かつての同潤会アパートやコープオリンピアのように感性が集まる、新しい“カルチュラル・アパートメント”には天井の蛍光灯を始め、あらゆるところに四角い箱型のモチーフが用いられている。
「今やネットに繋がる人全てが表現者でありメディアであるということを踏まえ、まだ見ぬ表現者を発掘してフィジカルとテクノロジーを繋ぎ、新しい物語を作ることがBE AT TOKYOの使命」(土井地さん)
常設された「LIVE STUDIO」はプロスペック・プロユースな機材を利用して映像配信をワンストップで可能にする。機材を熟知したスタッフを付随させることもでき、サポート態勢もバッチリ。土井地さんがナビゲーターを務める、Inter FMのラジオプログラム「Cultural Apartments produced by BE AT TOKYO」の公開収録も行われている。
アパートの一室をレンタルするように利用できる「BOX GALLERY」。置かれているのは大小さまざまな創作物。異なるアートの感性が交わる場所として表現者同士のコラボレーションが生まれる機会を創出する。
ワークスペースの利用は無料の会員登録をするだけ。スタッフが常駐しており、さまざまなかたちで利用者をサポート。Little Darling Coffee Roastersのコーヒーを飲みつつ、幅広くかつ鋭い選書がなされた本棚からお気に入りの一冊を読んでみるだけでも、良いアイデアがひらめくかもしれない。
アンビエントからテクノ、インディーロックにヒップホップ。なんかカッコいい音楽が流れているなと思ったら、やっぱりBGMにもこだわっていた。聞けば音楽やカルチャーに特化しDJやアーティストとして活躍するスタッフを選抜したという。音楽カルチャーにも深く根ざしているBEAMSならではのこだわり。
椅子を並べての講演会などニーズに応じてレイアウトが変更できる仕様。すでに周辺の学校の課外授業にも利用されている。SHOPではオリジナルアイテムが購入でき、身につければ誰でも「BE AT TOKYO」の一員だ。GOO CHOKI PARデザインのA〜Zのタイポグラフィをプリントしたポスターが、ランダムで手に入る巨大ガチャガチャは圧巻。
「明治神宮という歴史ある神社から、青山にかけてはモダンなメゾンブランドが立ち並ぶ。その横には多様なショップが広がっています。表参道という他に類を見ない縦軸のグラデーションと、多様なカルチャーを内包する原宿エリアの横軸がちょうど交差する場所を選びました」(土井地さん)
これがラフォーレミュージアム原宿に拠点を作った理由だ。長くじっくり根を張るように取り組みを行ない、モノだけではない感性と人が交わる交流装置として運営される。記事で紹介した全てのスペース、
「BEAMSの何でも屋さん」は東京から世界へ向けたクリエイティブを発掘・発信し、繋いでいく「TOKYOの何でも屋さん」へ。土井地さんが手がける感性の箱庭で育った種が芽吹き、世界へと発信されていくのが楽しみだ。
■概要
BE AT STUDIO HARAJUKU
オープン日:2021年4月23日(金)
住所:東京都渋谷区神宮前1-11-6 ラフォーレ原宿6F(ラフォーレミュージアム原宿内)
電話番号:03-4400-6716
営業時間:11:00~20:00
定休日:ラフォーレ原宿に準ずる
ホームページ:https://be-at-tokyo.com/
インスタグラム:@be_at_tokyo
Text:Tomohisa Mochizuki