絵画の新しい可能性を表現
2021年5月22日(土)までJR原宿駅前のギャラリー「Blum & Poe(ブラム&ポー)」にて、単色画の重要作家である權寧禹(クォン・ヨンウ)の日本初の個展を開催中。
クォンは、抽象度の高い水墨画で1959年に大韓民国美術展(国展)に入選、その後同展の審査員を務めるなど、韓国画壇で活躍するアーティスト。日本では1965年の東京ビエンナーレ、1975年に東京画廊で開催された「韓国・五人の作家 五つのヒンセク<白>」といった重要な展覧会に参加してきた。現在は、自らが学んできた伝統的な水墨画から距離を置き、繊細で複層的な韓紙(ハンジ) と呼ばれる紙の表面を爪で引っ掻き、引き裂くという手法で作品を生み出している。
本展では、日本でこれまで紹介されてこなかったクォンの作品群が集結する。クォンが取り組む単色画とは、1970年代中頃よりはじまった韓国人作家たちによる美術動向。絵具を押し付ける、キャンバスを浸す、紙を裂くというように素材を巧みに駆使して作品を作り上げるのが特徴だ。クォンは紙を道具として、そして手法として用いた作品を多く発表している。紙の裏側から穴を開けた作品やびりびりと引き裂かれた縦長の痕跡を持った作品をはじめ、筆の持ち手、ハサミといった道具で紙に穴をうがっていく新たな試みにも挑んでいる。
Blum & Poeは、1994年にアメリカ西海岸・サンタモニカでオープンしたギャラリー。国際的なレベルでの展覧会を多く開催している。そんなグローバルなギャラリーから発信されるクォンの新しいアートは今後ますます広がっていくだろう。
■概要
權寧禹(クォン・ヨンウ)個展
開催期間:〜2021年5月22日(土)
開催場所:Blum & Poe
住所:東京都渋谷区神宮前1-14-34 原宿神宮の森5F
電話番号:03-3475-1631
営業時間:アポイント制。詳細は公式ウェブサイトへ
定休日:日・月曜、祝日
■画像クレジット
・1〜5枚目
Kwon Young-woo
Installation view, 2021
Blum & Poe, Tokyo
© Estate of Kwon Young-woo, Courtesy of the estate and Blum & Poe, Los Angeles/New York/Tokyo
Photo: Saiki
・6枚目
Kwon Young-woo
Untitled, 1989
Gouache, Chinese ink on Korean paper
25 3/8 x 21 7/8 inches (64.5 x 55 centimeters)
© Estate of Kwon Young-woo, Courtesy of the estate and Blum & Poe, Los Angeles/New York/Tokyo
KYW 82
・7〜8枚目
Kwon Young-woo
Untitled, 1984
Gouache, Chinese ink on Korean paper
45 1/4 x 45 1/4 inches (115 x 115 centimeters)
© Estate of Kwon Young-woo, Courtesy of the estate and Blum & Poe, Los Angeles/New York/Tokyo
KYW 90
>>EDITOR’S VOICE
權寧禹(クォン・ヨンウ)個展が開催されるギャラリー「Blum & Poe」から徒歩3分。2020年9月にオープンしたグルメ施設「JINGUMAE COMICHI」2F、ミシュランガイド東京で一つ星を獲得したフレンチ「Sincere」の新業態「Sincere BLUE」がある。ここは環境に配慮して獲られたり養殖された“サステナブルシーフード”や、傷みやすさなどの理由で流通しなかった“未利用魚”を使うテーブルビュッフェスタイルのレストランだ。新しいアートを鑑賞したあとは、サステナブルな最先端のレストランで食事を堪能してみては。
※敬称略
Text:Natsuno Aizawa
INFORMATION
紙を爪で引っ掻き、びりびりと引き裂く新アート初来日! 韓国アーティストのクォン・ヨンウ個展@Blum & Poe
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前1-14-34原宿神宮の森5F
- 電話
- 03-3475-1631
- 営業時間
- アポイント制。詳細は公式ウェブサイトへ
- 定休日
- 日・月曜、祝日