
生バンドをBGMにフランス大使らがテープカット
2021年2月28日(日)、「エルメス表参道店」がオープンした。記念すべき初日は開店前に15分間のオープニングセレモニーが開催され、華やかなバンド演奏をBGMにテープカットを実施。お祝いムードに包まれた歴史的瞬間をレポートする。
実は、エルメスが表参道へ出店するのは今回が初めて。日本有数のラグジュアリーブランド密集地だけに、意外に感じる人も少なくないのでは? また、都内にエルメスの新しい路面店が誕生するのも20年振りのこと。オープンを前に表参道の街灯フラッグはエルメス一色となり、ラフォーレ原宿や表参道駅にもビジュアルが掲出されるなど、街全体が上陸の日を心待ちにしていた。
セレモニー会場である店舗へ辿り着くと、そこにはオープン当日限定で1対のペガサスのバルーンアートが出現。ペガサスはエルメスのスカーフやチャームのデザインにも度々用いられてきたモチーフだ。
午前11時を迎えると、バンドの生演奏による華々しいファンファーレが鳴り響き、セレモニーがスタート。
ファンファーレに続き、駐日フランス大使のフィリップ・セトン氏、エルメスジャポン株式会社 代表取締役社長の有賀昌男氏、エルメス表参道店 店長の濱田裕子氏が登場。3人による歴史的なテープカットが行われた。
ところでエルメス表参道店がオープンした場所には、1981年から2020年まで39年間、ポール・スチュアートがフラッグシップストアを構えていた。この建物のもっとも印象的な要素といえば重厚な石垣のファサードだろう。エルメスでは“竹林”に見立てたステンレス製の柵で石垣を囲うことで、ポール・スチュアート時代からガラリと印象を変化させている。
ちなみにこの石垣、約100年前の大正9年(1920)に、明治神宮へ続く道として表参道が整備されたときに築かれたものなのだとか。もともとこのあたりは小高い丘となっており、その上に広島藩主・浅野家の屋敷が広がっていた(表参道ヒルズや神宮前小学校もすっぽり収まるほど広大な敷地だったそう)。表参道はこの丘を貫いて通されることになったため、土崩れを防ぐため築かれたのがこの石垣だったと言われている。
エルメスによって“竹林”に見立てられたファサードの背面には間接照明が仕込まれており、夜になると石垣を幽玄に浮かび上がらせる。100年以上にもわたり表参道を見守ってきた石垣と、今新たにこの街で歴史を紡ぎはじめたエルメス。2つの物語に思いを馳せれば、また違った景色が見えてくるかもしれない。
■概要
エルメス表参道店
オープン日:2021年2月28日(日)
住所:東京都渋谷区神宮前5-7-20
電話番号:03-6712-6612
営業時間:11:00〜19:00
定休日:水曜
Text:Natsuno Aizawa