
「同潤会青山アパート」時代から続く歴史あるギャラリー
表参道ヒルズ同潤館3Fのギャラリー「ROCKET」が、2021年1月17日(日)をもって移転のため休館した。過去には佐藤可士和氏や蜷川実花氏も展示を行い、若手クリエーター&アーティストの登竜門として、才能が羽ばたく街・原宿を支えてきた。今後は南青山へ拠点を移し、新型コロナウイルスの状況をみながら改めてスタートを切るという。
先日までROCKETが入居していた表参道ヒルズ同潤館の入り口。2003年までここに立っていた同潤会青山アパートの建材を再利用し、当時の面影を忠実に再現している
ROCKETは1996年、表参道ヒルズが建つ前にここにあった日本最初期の鉄筋コンクリート集合住宅「同潤会青山アパート」の一室で誕生した。このアパートには作家や著名人の入居者も多く、クリエイティブな空気に溢れていたという。
大切にしてきたのは「新感覚ギャラリーのマインド」と「『新しくて面白い』の発信」。この2つは、同潤会青山アパートでギャラリーが始まった当時も、2003年のアパート解体後、何度かの移転を経て表参道ヒルズ同潤館へ舞い戻ってきた2016年以降も、変わらずに受け継がれていることだ。
「雑誌デザイン界の父」と呼ばれる藤本やすし氏。ROCKETを「雑誌のような、クラブのような新感覚ギャラリー」と表現する/藤本やすし氏インタビューより
オーナーは『STUDIO VOICE』『BRUTUS』など数々の有名雑誌のデザインを手掛けてきたデザイン集団CAP代表・藤本やすし氏。OMOHARAREALでもインタビューなどをさせていただいている。
書籍『ROCKET』に記録されている同潤会青山アパート。1階左端が当時の初代ROCKET/藤本やすし氏インタビューより
今後は南青山へ拠点を移すというROCKET。きっとこれからも、アート、写真、ファッションなど様々な分野の「新感覚」を私たちに届け続けてくれるだろう。世の中が落ち着き、1日も早く新生ROCKETに足を踏み入れられることを心待ちにしている。
Text:Natsuno Aizawa
