遠回しの「i love you」
2021年1月16日(土)〜2月7日(日)、アーティスト楊博(ヤンボウ)の個展「“Fly me to the moon” sequence1:Nightngale and Rose」が、キラー通り近くのギャラリーEUKARYOTE(ユーカリオ)で開催される。
楊博は1991年に中国で生まれ、10歳で宮城県へ移住。その後、東京藝術大学大学院で油画を学んだ。彼はこれまで、音楽や映画など様々な時代のポップカルチャーから引用した言葉や、日常的な風景からインスピレーションを受けた絵画作品を発表してきた。
本展のタイトル「Fly me to the moon」はジャズの名盤から取ったもの。フランク・シナトラや宇多田ヒカルのカバーでも知られるこの曲では、遠回しの「i love you」として「私を月に連れていって」と歌われている。誰もが「距離」を意識する今、「遠さ」は楊博の作品づくりにも影響を与えた。彼は以下のように語っている。
「歌の主人公が愛を伝えるためにどうしても必要だった遠回りの、そのような『遠さ』が、宇宙飛行士でもなんでもない自分を、逆に保たせているようにも思えます。いずれにしても、もともと僕にも夢はありませんが、ここと一番遠くとの間については、確かに考えることはありました。特に、2020年以降はいろんな『遠さ』を感じるには多すぎるほどの時間がありました」
パンデミック真っ只中の今、作品から何を感じられるだろうか。
■概要
“Fly me to the moon” sequence1:Nightngale and Rose
開催期間:2021年1月16日(土)〜2月7日(日)
開催場所:EUKARYOTE
住所:東京都渋谷区神宮前3-41-3
営業時間:12:00〜19:00
定休日:月曜
※新型ウイルス感染予防のためオープニングレセプションは行いません。
>>EDITOR’S VOICE
本展の由来となった「Fly me to the moon」は宇多田ヒカルのカバーでも有名。彼女が長年にわたり走り続ける日本のミュージックシーンには、表参道・原宿を舞台にした名曲も数多くあることをご存知だろうか。小沢健二、サカナクション、桑田佳祐ら名だたるアーティストたちの曲とこの街との関係を紹介するコラム「OMOHARA SONGS」も、あわせてチェックしてみてほしい。
※敬称略
Text:Natsuno Aizawa
INFORMATION
私を月に連れていって 宇多田ヒカルやシナトラも歌った名曲からディスタンスを考える絵画展@ユーカリオ
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前3-41-3
- 営業時間
- 12:00〜19:00
- 定休日
- 月曜