2人目はUN GRAINのシェフ・昆布智成さんセレクトBOOK
食欲の秋、芸術の秋、スポーツの秋、そして読書の秋。いつも行くカフェのスタッフさん、街の書店の店長さん、レストランのシェフ…この街で働く人たちが選ぶ「おすすめの1冊」を紹介します。
今回は、UN GRAINのシェフ・昆布智成さんに選んでいただきました!
昆布智成(こんぶ ともなり)/東京製菓専門学校卒業後、老舗のパティスリー「オーボン・ヴュータン」河田勝彦シェフの下でフランス菓子の基礎を習得する。パリで2つ星レストラン「ラトリエ ・ド・ジョエル・ロブション」でデセールを担当し、2015年よりUN GRAINのシェフとして活躍している。趣味はお菓子のことを考えること。
昆布シェフおすすめの1冊は…
『ベーシックは美味しい』 著:河田勝彦 (柴田書店)
その理由とは?
「フランス菓子の魅力に引き込まれ、フランスへの憧れが強くなり、フランスで働いてみたいと思わせてもらった一冊です。
この本は、日本におけるフランス菓子の第一人者でもある、老舗のパティスリー『オーボンヴュータン』のシェフ・河田勝彦さんのレシピ本です。
『オーボンヴュータン』のお菓子を食べて魅了されたのがきっかけで、河田シェフの下で働きはじめ、フランス菓子の基礎を習得しました。そこでこの本に出会い、修行の傍ら毎日読んでいました。2冊持っていて家にある方はボロボロです。今でも、新しいお菓子を考えるときや迷ったときなどに読み直して、基本を思い出しています。
また、この本からは“仕事に対する姿勢”を学びました。本の内容としてはベーシックなフランス菓子のレシピが中心なのですが、チャプターの間にあるコラムに河田シェフのフランス菓子への考え方などが書かれています。
例えば、『焼き菓子は、粉までしっかり火を入れて黄金色に焼き上げるという意味の“キュイドール”が大事とされているのですが、15分160℃で焼くなどレシピ通りにするというより自分の目で見極めることが大切』という話など、読むたびに初心に戻れる自分にとってのバイブルです」
◾️UN GRAIN
骨董通りから路地に位置する、”ミニャルディーズ”のお店。ミニャルディーズとは、フランス語で「上品さ、可憐さ」という意味を持ち、フランス料理では食後の小さなお菓子のことを指す。同店のミニャルディーズは、すべてひとつまみサイズながら、どれも芸術作品のように美しい。
Text:Ayaka Minoda