平面&立体から既存概念に問いかける
2020年7月22日(水)〜8月9日(日)、キラー通り近くのギャラリー「EUKARYOTE(ユーカリオ)」にて「神の左手 悪魔の右手」を開催。京都・奈良を拠点に活動するアーティスト、東慎也と米村優人の作品を紹介している。
互いに京都造形芸術大学を卒業した彼ら。平面と立体というそれぞれの領域で制作活動を行っている。東慎也は、瑞々しい色彩を用い、大胆なストロークや厚塗りのメディウムで自身のイメージを体現。犬、猫、鳥など動物たちが描かれた絵からはどこか滑稽で可愛らしいイメージを受けるが、その裏には現代社会が抱える問題や事象がテーマとして隠されている。本展発表の新作では、物や動物たちと人間たちとの“支配” “被支配”の関係の表裏一体性をメタファーとして表現。見る者に、どこか看過できない物語やアイロニーを喚起させる作品となっている。
米村優人は、粘土や石、FRP(繊維強化プラスチック)など様々な素材を用いた彫刻作品を制作。展示空間やテーマに合わせて配列可能なその作品を「超人像」と呼び、幼少期に父の影響で親しんだ昭和の特撮ヒーローや、ギリシャ神話の神々のように人知を越えた圧倒的な存在への憧れや興味を落とし込んでいる。彼は作品のなかで、アニメヒーローの存在感や、ロボットのメカニカルな変形、ギミック要素を再解釈。また物理的な関係性で語られるオリジナルストーリーを生み出し、痛みや恐れ、憧れ、畏怖の念など感情を内包しながら、彫刻のリアリティを探究している。本展では「アガルマン」の新作や、新型コロナウイルスの影響で中止となった「Artist Fair KYOTO」で発表するはずだった作品などを展示。
それぞれ平面作品・立体作品を通して、生き物や自然、社会に対する既存概念や畏怖と向き合う2名の若いアーティスト。新型コロナウイルスの影響もあり閉塞的な日常が続くなか、作品を鑑賞することで感じるものや発見があるのではないだろうか。
※敬称略
■概要
神の左手 悪魔の右手
開催期間:2020年7月22日(水)〜8月9日(日)
開催場所:EUKARYOTE 1〜3F
住所:東京都渋谷区神宮前3-41-3
開催時間:12:00〜19:00
定休日:月曜
>>EDITOR’S VOICE
EUKARYOTE(ユーカリオ)に程近いワタリウム美術館では、2020年8月30日(日)まで「青木陵子+伊藤存 展 変化する自由分子のWORKSHOP」を開催中。青木陵子も伊藤存も、京都を拠点に活動するアーティスト。「神の左手 悪魔の右手」とともに訪れて、関西発のアートに触れる1日にしてみては?
Text:Natsuno Aizawa
INFORMATION
「神の左手 悪魔の右手」ユーカリオで開催 現代社会やアニメヒーロー、ギリシャ神話などに影響を受けた作品が並ぶ
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前3-41-3
- 営業時間
- 12:00〜19:00
- 定休日
- 月曜
