【雑誌デザイン、そして多くのクリエイターの父。CAP代表/ROCKET主宰・藤本やすし氏からのメッセージ】
いつもお世話になっているオモハラリアルの黄さんから、
新型コロナウイルスの感染拡大で、閉塞する表参道、原宿界隈で生活する人たちに向けて
エールのメッセージを送って欲しいと頼まれた。
実はエールを送って欲しいのは私自身だ。
私は小さなデザイン会社を主宰している。
そして私は今年70歳になる高齢者だ。
この季節アパレル業界は秋冬シーズンカタログ制作に向けて連日とても忙しい。
当然カタログ制作を多く請け負っている、私たちのようなデザイン会社もとても忙しい。
大人数での打ち合わせは、たいてい密閉された空間で始まり、議論は常に白熱する。
オシャレな若者はマスクをしない。
マスクをして静かに座っている私にツバの飛沫が吹きかかる。
高齢者の私はなんとか打ち合わせを避けたいのだが、とても参加をパスできる雰囲気ではない。
そして打ち合わせ中、なぜだかコロナウイルスに関する話題は皆無なのだ。
コロナウイルス感染拡大防止を目的とした各種施策が行政から発表されるが、
どこ吹く風とカタログ制作は粛々と進行してゆく。
なぜなら今年の秋カタログが店頭に並んでいることが必須だからだ。
毎日てんてこ舞いの私がいま叫びたいこと。
それはカタログ制作が一段落して、
コロナウイルス騒動をみんなで乗り切って収束したあかつきには、
気持ちの良い原宿、表参道をおもいきりカッ歩し、爆買してこのうさを晴らそうではありませんか。
その日までみんなでガンバロー、ガンバロー。
藤本やすし/『STUDIO VOICE』『BRUTUS』など様々なファッション・カルチャー誌のアートディレクションを手掛けてきたデザイン集団・CAPの代表であり、表参道ヒルズ同潤館にて若手クリエイターの発掘を積極的に行うギャラリー・ROCKETを主宰