
クローズするCIBONE Aoyamaの最後をアップデート!
設計事務所DAIKEI MILLSが行なっている“合法的占拠活動”「SKWAT」をご存知だろうか?「SKWAT」とは、「SQUAT」(=占拠する)を語源としており、原宿を中心とする空きスペースをゲリラ的に期間限定で占拠し、彼ら独自の方法で空間を再構築し、様々な文化的コンテンツの企画・発信を行うプロジェクトだ。
第一弾は、神宮前の旧クリーニング店を占拠し、廃棄予定の画集や写真集を全て1000円で販売するアートブックストアThousandbooksを展開。
今回はその第二弾の「SKWAT in CIBONE」。 3月29日(日)にクローズするライフスタイルショップCIBONE Aoyamaを占拠し、ラスト約2週間のみのために設計者自らの手で、アップデートした空間「SKWAT in CIBONE」を作るという。一体どんな空間になっているのか実際に訪れてみた。
CIBONE Aoyamaのエントランスに着くと、インテリアが並ぶ店内に唐突に緑色の絨毯が敷いてあり、良い意味での「違和感」を覚える。
導かれるようにして進んでいくと…。
その絨毯は店内の奥まで続いており、絨毯と同じ原色の緑のオブジェクトがある空間が現れた。以前は、ソファやテーブルなどの大型家具、カーテンやラグなどのファブリックアイテムが並んでいたスペースが占拠され、オブジェクトを中心にカフェに変わっている。
そのカフェの席につき一息つくと、今まで感じていた違和感は薄れ、不思議と居心地がいい。CIBONE Aoyamaの完成された空間がSKWATされることで、そのスペースから見る景色は通い慣れたCIBONEにない新しいものに感じられるから面白い。
様々な席があり、そこにある椅子や照明などは全てCIBONE Aoyamaの売り物。これまでお店に通いつめていた人も、さすがにここまでゆっくりとくつろいだことはないだろう。それを移転前であるCIBONE Aoyamaの最後に味わえるこの期間は貴重だ。期間限定というのは儚いが、ゲリラ的に行うSKWATらしい活動だと思った。
またこのオブジェクトは、移転後の新CIBONEのフロアレイアウトを組み合わせて作られているそうだ。未来のCIBONEを密かに匂わせるデザインにすることで、過去、現在、未来が交錯するような場所になっている。
CIBONE Aoyamaはクローズしてしまうが、これまでの活躍を想い、未来に期待できるようなオブジェクトをカフェにすることで、みんなが集うことができる。そして、そこでゆっくりとCIBONE Aoyamaの最後を楽しめる空間になっているのだ。
カフェは、“進化系レトロ喫茶”と呼ばれる名古屋の喫茶「シヤチル」。縁あって「SKWAT in CIBONE」に参加することになったそう。
優しく落ち着いた印象のシヤチルの店主に、何故今回参加することになったのか経緯を聞いてみると、「実は『SKWAT』の活動をしている設計事務所DAIKEI MILLSの中村さんの教え子なんです。そのつながりから、この活動に賛同し参加させてもらいました」とのこと。
本や雑誌が置いてある窓側の席も。
メニューは、シヤチルブレンド、クリームソーダ、あんバタサンドなど人気メニューが並ぶ。クリームソーダは、透き通った水色が印象的。
「あんバタサンド」は、隠し味にパイナップルが入っており、あんみつをイメージしたサンド。
メニューやグッズの値段が付箋に書かれて壁に貼られていたり、伝票が付箋に書かれて渡されたり、至る所で付箋を多用している。理由を聞いてみると、ゲリラ的に行う「SKWAT(占拠する)」の活動と、貼ってすぐ剥がせる付箋の手軽さが似ているからとのこと。細いところまで「SKWAT(占拠する)」の要素が織り込まれていると改めて感じる。
CIBONE Aoyamaの完成された空間に突如現れた「SKWAT in CIBONE」。「違和感」も含めて絶妙な居心地の良さを感じる不思議なスペースだった。また、ファンにとっては、これまでにないCIBONEの表情をみれるまたとないチャンス。占拠されつつも最後に進化とも思える変貌を遂げたCIBONE Aoyamaの最後を楽しみつつ、「SKWAT」という活動をゆっくり堪能して欲しい。
■概要
SKWAT in CIBONE
開催期間:2020年3月10日(火)〜29日(日)
開催時間:12:00〜18:00
開催場所:CIBONE Aoyama
住所:東京都港区南青山2-27-25 2F
追記:移転先は表参道GYREのB1F
Text:Ayaka Minoda
