植物×異素材!ニコライ氏が挑戦する新たなフラワーアートとは?
骨董通りとみゆき通りに挟まれた南青山の一角に、花と緑で賑わうエリアがある。このエリアを構成しているのは、斬新で現代的なフラワーデザインで知られるニコライ・バーグマン氏のショップ「Nicolai Bergmann Flowers & Design Flagship Store」や併設のカフェ「Nicolai Bergmann Nomu」だ。
そんな花と緑が溢れるフラワーブランド「Nicolai Bergmann」の世界観を思う存分楽しめるこのエリアに、ニコライ氏の挑戦的フラワーアート作品を展示する「GALLERY nicolai bergmann」が2020年2月26日に誕生。ニコライ氏が提案するフラワーデザインの新たな可能性を探るべく、オープン前日に開かれたレセプションパーティーへ向かった。
「GALLERY nicolai bergmann」の場所は、「Nicolai Bergmann Flowers & Design Flagship Store」の真向かい。2階建ての白い建物だ。
建物の設計はディオール表参道などを手がけたSANAAの妹島和世氏。ガラス張りの建物をエキスパンドメタルで覆うことにより、外からの視線を優しく遮りながらも採光を確保し、開放感がある造りになっている。
ギャラリー内には、ニコライ氏が世界中を巡り、アートや建築、インテリア、ファッションやジュエリーからインスピレーションを受け、異素材と植物を組み合わせたアート作品を展示している。1Fは色彩豊かな作品、2Fは落ち着いた色合いの作品で統一し、敢えてフロアで異なる雰囲気を演出しているとのこと。
バッグやオブジェ、ペイント作品など、植物と組み合わせた色彩豊かな作品が並ぶ。
色とりどりのバラを使ったアート作品、ドライフラワーを直接キャンバスにペイントしたフラワーペイント作品、バラのプリザーブドフラワーに流木を組み合わせた作品など、ニコライ氏の手によって植物が新しいアートに昇華されている。ニコライ氏らしいビビッドな色の作品だけでなく、淡く優しい色の作品も見られるのはこのギャラリーならでは。
こちらの作品で使用している花びらは全てバラ。ポップな「楽しさ」や「遊び感」を演出し、バラの新たな一面を表現している。
ニコライ氏と同じデンマーク出身のブランド、フリッツ・ハンセンの椅子とのコラボレーション作品。こちらもキャンバス作品と同様、フラワーペイントによるもの。
レセプションパーティーは、ニコライ氏本人による一点一点の作品紹介を聞きながらギャラリーを巡るというもの。作品に使用した素材や制作方法、ストーリーについて語るニコライ氏は終始穏やかな物腰と微笑みで参加者に説明してくれた。
こちらは、福岡・太宰府天満宮の梅の枝とプリザーブドフラワーを組み合わせた作品。丸みを帯びたシルエットのプリザーブドフラワーと神聖な場所にあったことがうかがえる自然そのままの枝のコントラストに目を奪われる。
「フラワーブーケやフラワーボックスなどの商品ラインでは表現しきれないものをアート作品として発表したかった」と言うニコライ氏。このギャラリーに展示されている作品はどれも様々な場所やモノ、風景、その時の感情などニコライ氏のインスピレーションによって作られた、深いストーリを持つ作品ばかりだ。
しばし色彩豊かな世界に浸ったあとは2Fへ。螺旋階段を登ると、1Fとは異なる落ち着いた色調の空間が広がっている。
スニーカーともコラボ。
オーストラリア固有の植物バンクシャと陶器による作品。森林火災で騒がれたオーストラリアの暗い空をイメージして作られたそうだ。
こちらはピンクペッパーと植物の萼(がく)部分を組み合わせた作品。このギャラリーには、プリザーブドフラワーやこういった植物の様々な部位を使った作品のほか、あえて枯れた植物(枯れゆく姿も美しいということを表現しているそう!)を使った作品なども展示されている。
オブジェやキャンバス作品などのアートだけでなく、もう少し身近な感覚で「Nicolai Bergmann」の世界観を楽しめる作品も。その一例が、ジニアの花に顔料をつけて佐賀・有田焼きに絵付けしたフラワーモチーフのプレート。全て異なる花で絵付けされ、それぞれ裏にはシリアルナンバーが施されている、全てが1点モノの作品だ。
この日のレセプションパーティーでは、フィンガーフードやドリンクを味わいながらニコライ氏の解説の元、ゆったりと作品に向き合うことができた。
ニコライ氏にどのように楽しんでもらいたいか聞いてみると、
「青山のこの一角に、僕のフラワーの世界を異なる角度から味わえるショップ、カフェ、アートギャラリーが集まっています。3つの場所を行き来しながら楽しんでほしいです」と語ってくれた。
展示作品は3ヶ月で変更するとのこと。展示替えごとに変わりゆく作品とともにどんなギャラリーになっていくのか、今後が非常に楽しみだ。
Text:Rie Fujiwara
Photo:Yuki Maeda