キーワードは「断面」!吉田ユニ氏の心と作品を覗いてみた。
現在、ラフォーレミュージアム原宿にて5年ぶりとなるアートディレクター・吉田ユニ氏の大型個展「Dinalog」が開催中。日本で最も活躍するアートディレクターの一人といわれる吉田氏へのインタビューに成功したので、ご本人の解説とともに展示内容の一部をご紹介!
改めて、吉田ユニ氏は、ラフォーレ原宿のキャンペーンビジュアル、野田秀樹演出舞台、渡辺直美展のビジュアル、星野源、CharaのCD・DVDジャケットなど幅広く手掛けるアートディレクター。企業やブランドからのオファーも絶えず、作品を通して多くの人々を虜にしている。
キャリアの最初に所属していた事務所「大貫デザイン」の大貫卓也氏は、吉田ユニ氏の名付け親。「ユニ」は「ユニーク」から採用したとのことだが、その名の通り、彼女の作品は創造力に富み、その独自の視点が鑑賞者に鮮烈なインパクトを残してくれる。
プロフィール・吉田ユニ
1980年生まれ。女子美術大学卒業後、大貫デザイン入社。宇宙カントリーを経て2007年に独立。広告、CDジャケット、映像、装丁など幅広く活動中。主な仕事に、ラフォーレ原宿 、野田秀樹演出舞台「THE BEE」「半神」のアートディレクション、木村カエラやChara、星野源のCDアートワーク、渡辺直美展のアートディレクション等。雑誌「装苑」でも連載を手がける。2016年東京ADC賞受賞。
この個展「Dinalog」では、これまで手掛けた作品はもちろん、今回のために制作した新作も集結している。また、ラフスケッチ、制作に使用した小道具、メイキング動画など制作過程を楽しめる展示物も見どころ。
個展「Dinalog」メインビジュアル
入ってすぐに、この個展のメインビジュアルにも採用されている新作が。女性の頭にあるりんごや髪の毛、持っている花束が、スパッとカットされている。
この新作について、吉田ユニ氏は。
「今回の個展は、ラフや制作の過程なども展示しているので、新作でも“断面”をキーワードに、普段見られない側面や切り口をビジュアル化してみました」
中へ進むと天井からウィッグがぶら下がっていて驚かされた。どの作品に使われたものか、ピンとくる人も多いかも?
こちらは、5年前の2014年に開催したラフォーレ原宿での初個展「Imaginatomy(イマジナトミー)」のメインビジュアルの制作動画とラフスケッチだ。
吉田氏は、当時の気持ちをこう振り返った。
「個展というものをあまりやったことがなくて、自分の作品が人に観られているのが、恥ずかしくてドキドキしました。自分ではあまり個展を行うつもりはなかったのですが、お話をいただけたので、せっかくだからとチャレンジしました。ちょっと照れくささもあったんですけど、実際やってみたら普段直接は聞けないお客さんの感想を知れたり、たくさんの人が観てくれている場面を見られたり、すごく刺激になりました」
事務所が原宿周辺ということもあり、よく在廊していたのだとか。
渡辺直美がプロデュースした、 シュウ ウエムラ5色限定リップコレクションの作品。
ラフスケッチが既に、作品として成り立っている可愛さ!この他にも渡辺直美がプロデュースしているブランド「PUNYUS」のシーズンヴィジュアルなど過去の作品が展示されている。
星野源のCDジャケット「YELLOW DANCER」や「POP VIRUS」の作品。
その制作過程も。
まだまだご紹介しきれていない作品と制作過程が詰まった今回の個展。この個展をどんなお客さんに観てほしいのか本人に聞いてみると。
「せっかくラフォーレ原宿で開催しているので、この個展に来たお客さんにはラフォーレ原宿の他のショップにも行ってほしいし、ラフォーレ原宿に別の用事で来たお客さんにこの個展にも来てほしいです」
ファンにとっても、ラフォーレ原宿にふらっときた方にとっても吉田ユニ氏の世界に入り込みやすいこの個展。観終わったら、ラフォーレ原宿も合わせて楽しんでほしい。
最後に、吉田ユニ氏にとって「ラフォーレ原宿」と「原宿」はどんな場所なのか聞いてみた。
「一番最初にいた大貫デザインも、独立してからもずっと事務所が原宿にありました。宇宙カントリー時代も表参道に事務所がありました。
どの事務所にいた時も、ラフォーレさんのお仕事をやらせていただいていたので、ラフォーレ原宿にはすごく馴染みがあってお世話になっている場所という印象です。だから今回もそんなラフォーレ原宿で個展ができることは光栄だなと思っています。
ほとんど職場の原宿にいるので、原宿は落ち着く街ですね。アイディア出しは原宿のカフェですることが多くて、でも人に会いたくないので、人が入ってない、カフェに行ったりしてます」
大学を卒業後、最初にいた事務所から、ほとんど原宿で過ごしていて原宿が好きな気持ちが伝わってきた。この街で、数々の作品が生まれているのだろう。もしかしたら原宿のどこかで、吉田ユニ氏に会えるかもしれない。なんてわくわくしながら、本当に見かけたときは、声もかけず、この街から生まれる次回の作品を楽しみに待ちたい。原宿という街は、アーティストの創作を引き起こす場所として輝いているのではないだろうか。
ラフォーレミュージアム原宿にて5年ぶりに開催中の個展「Dinalog」は、2019年12月1日(日)まで。この個展に合わせて刊行された作品集も会場では先行販売しているので、要チェック。
概要
吉田ユニ展「Dinalog」
・開催期間:2019年11月15日(金)〜12月1日(日)
・時間:11:00 - 21:00(入場は20:30まで)
・入場料:無料
・場所:ラフォーレミュージアム原宿
Text : Ayaka Hashida