青山通りをカルチャーストリートに
スパイラルの影響もあるだろう、最近では表参道ヒルズ、GYREなどギャラリーを併設する商業施設も誕生しており、オモハラは着実に生活とアートが融合する街に近づいているように思える。
「スパイラルは1階の最もいい場所にギャラリーがある。これこそ、私たちが『文化の事業化』を掲げ活動している信念が最も顕著に現れている部分。事業とのバランスを取るのは大変ですが、30年前は理解されるのが難しかった”モノよりコト”という考え方が、今の人たちにとっては当たり前になっているように感じます。付加価値を求める世の中で、きっとアートはもっと身近になっていくでしょう」
そんな小林さん、こんな構想があるのだとか。
スパイラルが存在する青山通りの未来について語る小林さん
「2020年をきっかけに、青山通りをカルチャーストリートにできないかと計画しています。渋谷からアートを見ながら歩いていくとオリンピック会場に辿り着く、そんな動線を作りたいんです。ちょっと脇道に入ると、倉庫やテントの中で、まだ評価されていない若い才能のアートが楽しめる…青山通りをそんな道にしたい。むやみにお金を使って大規模な開発をするんじゃなくて、スパイラルの開館当初がそうであったように、誰も見たことがない文化発信の形を見せられればと考えています」
時代の一歩先を見極めながら、大胆に、かつ上品に。常に生活との融合、街との融合を意識しながら、さりげなくアートの世界に巻き込んでくれる彼が、このオモハラをどう変えてくれるかを楽しみにしたい。
Text:Takeshi Koh
Photo:Yusuke Iida