フラワーボックス誕生秘話
「18年前の自分の仕事を今見ると…正直若いね(笑)」と振り返るニコライ氏は、南青山というエリアを拠点に仕事をしていたからこそ、スキルを磨けた部分は大きいと話す。
「世界観が重要なアパレルブランドはもちろん、このエリアのクライアントたちはみなこだわりがあるので、制限もとても強い。赤いバラしか使わないでとか、白とグリーンだけでとか、かすみ草だけ使ってとか。でも、そういう制限があるからこそクリエイティビティが発揮されるんです。ルールの中でどうやって自分らしいデザインができるかと考えることでアイディアが出てきます」
実は、彼の代表作であるフラワーボックスも、ある制限から生まれていた。
ニコライ氏の代名詞となっているフラワーボックス
「あるブランドのイベントで、狭いスペースに『ここに花を重ねて置けるように』と言われたんです。『花を重ねるって何だ?』と思いました(笑)。でも、必死に考えて、じゃー花を短く切って浅めのボックスに入れてしまおうって。こうして重ねられるフラワーアートが完成しました。今ではフラワーボックスでニコライ・バーグマンを知ってくれている人も多いと思うので、ありがたいですね」
無茶な要望から新しいものが生まれることは多いと語るニコライ氏は、こんな例も教えてくれた。それは、現在のカフェを併設した150坪のフラッグシップストアである。今でこそ増えてきているが、当時はカフェを併設したフラワーショップなどどこにもなかったと振り返る。
ニコライ バーグマン フラワーズ & デザイン フラッグシップストア
「青山に150坪なんて一流のラグジュアリーブランドが借りるもので、フラワーショップが借りるなんてバカな話。でも、骨董通りを抜けてこの裏道を散歩していたら、スケルトンになっているこの物件を見つけて、一発でフォーリンラブしてしまいました(笑)。直感で。叶わない夢かとも思ったけど、ギブアップせず、どうすれば人が入るようにできるかと考えていたときに、母国であるデンマークのサンドイッチやフレッシュジュースを飲めるカフェを併設するのはどうかと思いついたんです。メニューは妻のアマンダにアイディアをもらいました」
フラッグシップストア内に併設されたカフェ「Nicolai Bergmann Nomu」。花が敷き詰められた美しいテーブルでデンマーク料理を楽しめる
こうしてカフェを併設した新しい形のフラワーショップが完成。南青山が与える壁を生かしながら、ニコライ・バーグマンという花は、より高く、より目立つ存在へと進化してきたのだ。