70年代の原宿アパートメントが映像化!?
教会、原宿アパートメント、同潤会アパートメント。思い出の風景が次々と消えていってしまったが、75歳の現役スタイリストの中には、当時の原宿にあった熱気が残っているという。
「70年代の原宿にいる人々は何かを成し遂げて獲得する自由があるということに希望を持っていました。そんな環境にどっぷりと浸かっていたせいか、私の中には未だにそのハングリー精神があって、今でも世の中に影響を与えるようなクリエーションをしたいと思っています」
昔の写真と変わらぬ笑顔と仕草を見せる高橋氏。夢を追う気持ちも70年代当時と変わらず持ち続けている
「今の若い人たちはもう少し現実的なんでしょうね」と話す彼女に、夢のひとつを聞いてみると。
「私の著書『表参道のヤッコさん』を映像化したいです。重い荷物を抱えて表参道のケヤキ並木を歩いている主人公が転んだとき、荷物を拾ってあげるという役で私も出演して(笑)。原宿セントラルアパートメントがあった熱気のある時代のこの街を、映像で再現できたら嬉しいですね」
決して過去に固執することなく、時代の変化に対応し、50年以上も最前線で活躍し続けている高橋氏。しかし心のどこかで、このエリアに、夢と熱気が溢れていた70年代のムードを取り戻したいという願望があるようだ。世界を飛び回りながら様々な時代の華やかな現場に居合わせたスタイリストが、今も憧れる街のムードとは一体どのようなものなのか。その時代を甦らせるべく、映像化が実現することを期待したい。
Text:Takeshi Koh(OMOHARAREAL編集長)
Photo:Masaya Odaka