2020年、伝説のホコ天が復活!?
今後、東京オリンピックに向けて加速度を増して変化していくオモハラを、彼はどのようにプロデュースしてくのだろうか。
「パラリンピックを成功させたいですね。オリンピックはどの都市で行っても盛り上がるでしょうが、パラリンピックはそうとは限らない。でも、両方を盛り上げるのが、成熟した国際都市の条件だと考えています。マジョリティのマイノリティに対する意識は法律では変わらず、何かを感じることで変わるもの。気持ちを揺さぶるきっかけを与えるうえで、パラリンピックは大きなチャンスです。見れば驚きますよ、パラリンピックの迫力はすごいですから。僕はロンドンパラリンピックの広告が好きなんですけど、パラリンピック出場選手たちの前に『MEET THE SUPER HUMAN』と書かれている。あんなにかっこいい広告を見れば、みなが興味を持ちますよね。僕も、たとえばアパレルショップのショーウィンドウの中に車椅子に乗ったマネキンを置いてもらうなど、この街らしいクリエイティブな方法で、原宿に訪れた人たちにパラリンピックへの興味を持ってもらい、日本の福祉に対する意識を変えるということをしたいんです」
2012年に開催されたロンドンパラリンピックのポスター
出典:AD WEEK
LGBT、障害者、外国人。”ダイバーシティ”を掲げ、オモハラを成熟した国際都市として進化させている長谷部氏だが、一方でこんなプランも考えていた。
「80年代の表参道・原宿を大きく盛り上げた”歩行者天国”を復活させたい。全国から人が集まる大きな施設が増えるのもいいことですが、僕はカルチャーはストリートから生まれるものだと思っているので。クールスとかキングギドラとか、山本寛斎とか、身近に見てきましたからね。スターが生まれる街であり続けさせたいんですよ。2020年までに復活させて、デモンストレーションはケヤキ並木の坂道を車椅子で走るイベントを開催するなどの形で行いたいですね」
区長室。ハチ公や渋谷区PRキャラクター「あいりっすん」のオブジェが置かれており、どこかストリート感が漂っている
こんなに”行政に期待”をさせる男がいるだろうか。彼が渋谷区長でいてくれれば、今後もオモハラから、多くの素敵な物語が生まれ続けるだろう。
Text:Takeshi Koh(OMOHARAREAL編集長)
Photo:Ryo Nakagawa