広告的視点でオモハラをプロデュース
長谷部氏が行った最初の”街への恩返し”。そのアイデアは、区議会議員となる前、商店街が行っている”朝の街掃除”に参加することで生まれた。オモハラを掃除をするNPO団体・グリーンバード。名前は知らなくとも、グリーンのユニフォームを着て掃除を行っている集団や、鳥のロゴマークを見たことある人は多いのではないだろうか。
ゴミが出やすいハロウィンでもグリーンバードが活躍している
出典:事業構想大学PROJECT DESIGN ONLINE
「LOVE&PEACEの象徴として知られるニコちゃんマークを参考にしたんです。普段から平和を訴えている人でなくても、『このマークかわいいね』という気持ちでニコちゃんマークのアイテムを持っていれば、その人も周囲の人も、自然と共感できるでしょう。同じ感覚で、グリーンバードのロゴマークを身につけることでゴミのポイ捨てをする人が減っていけばと、”掃除”の印象とは離れたかわいいロゴマークを考えました。また、拾う人を増やすために、ユニフォームも作成。イベント感を演出することで、若者など普段掃除に参加しない層を巻き込むことを狙いました」
結果、14年前の当時45リットルサイズで20袋も集まっていたゴミが、現在では5袋程度に減少。さらに、グリーンバードは様々なメディアで取り上げられ、その活動は原宿から全国、そして世界中に広まっている。博報堂時代に培った広告的な発想を生かして、”街のプロデューサー”になりたいと考えていた長谷部氏は、オモハラが「物語が生まれる場所。素晴らしいメディア」であることを確信。区議会議員となってからも、様々な”物語のはじまり”を仕掛ける。
ケヤキ並木のイルミネーションを復活させたのも長谷部氏である
出典:hoshino.asablo.jp
「代々木公園の近くに作った禁止事項のない『プレイパーク』(現在は渋谷区で最も子供が訪れる公園)、NIKEとタイアップすることで民間の創意工夫により財政負担を減らし、良質な公共サービスを提供するためにリニューアルした『みやした こうえん』、日本トイレ大賞(昨年度国が創設)を受賞した『公衆トイレネーミングライツ事業』、そして最近では同性パートナーシップ条例。行政はリスクヘッジを先行させてディフェンシブになりがちですが、渋谷区はオフェンシブな政策を受け入れてくれる街です。独自の文化を次々と生み出してきた歴史があるためか、変化を受け入れる土壌があります。いわゆる同性パートナーシップ条例が制定される以前から神宮前二丁目にはLGBTの方たちが運営する飲食店などがありましたが、最近では『昼の二丁目』などと言われながら、LGBT以外の層も巻き込みながら盛り上がっている。そして今後きっと、昼の活動を行うLGBTの方たちは全国的に増えていくでしょう。表参道・原宿エリアで新しい何かをスタートさせる魅力がそこにあると思います」