【私の表参道】表参道・原宿の街を近くに見続け育ったアーティスト・Yusuke Ochiaiが、街へと戻った瞬間 その始点
Yusuke Ochiai
1977年東京都渋谷区生まれ。2010年よりニューヨークを拠点に活動を開始。独学で絵画と立体を学び、都市に残された痕跡や人の気配をテーマに、絵画・立体・空間演出を融合させた作品を制作する。14年間のNYでの活動を経て、現在は東京を拠点に、「Poieverywhere(想像の道)」という概念をもとに、都市と記憶、想像の関係性を探るプロジェクトを展開している。 現在、日本初個展「I GOT YOUR POINT」を南青山・骨董通りにあるOtherwise gallery で2025年7月26日(土)まで開催中

原宿という始点
1977年、渋谷・千駄ヶ谷で生まれ育った私にとって、原宿や表参道は"特別な場所"というより、"いつもそこにある街"だった。
週末になると父と「KIDDY LAND」に行き、おもちゃを眺めながら、電動ミニカーのレース大会の熱気にはしゃいでいた。ホコ天ではリーゼントヘアーのロカビリーたちが踊り、竹下通りではレースとフリルのロリータファッション、ゴスロリ系の若者たちがすれ違っていく。街全体が、得体の知れないエネルギーで満ちていた。
でも当時は、それが“すごいこと”だとは思っていなかった。あまりに近すぎて、空気のように自然で、ただただ当たり前だった。その空気を吸って育った。
やがてアーティストの道を模索し、2010年からニューヨークに移住。そこで始めたのが"POI(Path of Imagination)"というストリートアートプロジェクトだった。手のひらサイズの小さなキャラクター「Poi」を、街の隠れた場所―信号機の上や建物の片隅―にゲリラ的に設置していく。通りがかった人が偶然見つけて、持ち帰って、また別の場所に置く。そうやって人と人をつなぐ「想像の道」を描いていく活動だった。
2016年、一時帰国したとき、POIを初めて原宿・表参道に置いてみた。その瞬間、ずっと外に出ていた自分の何かが、この街に"戻ってきた"ような感覚があった。見慣れていたはずの風景が、まったく違って見えた。あのとき感じた"しっくりくる感じ"は、今もずっと心に残っている。
2024年、再び日本に戻り、改めて原宿を歩いてみて思う。この街は、今も昔も、何かを始める人たちの"始点"なのだと。そして私もようやく -表現者として、この街に参加できるようになった気がしている。かつて、ただそこに"居た"だけだった原宿という場所に、今は自分の痕跡をそっと重ねている。
Text & Photo Yusuke Ochiai


























