かつて、神宮前3丁目に「Sunshine Studio」というカフェ兼イベントスペース・アートギャラリーがあった。そこは若手デザイナーやアーティストにイベントや展示の場を提供し、発信していくというコンセプトの元に運営されていた。そのコンセプトに共感したジェフ・マクフェトリッジは、ロゴとインテリアのグラフィックデザインを手がけている。
2007年に原宿・神宮前にオープンした「Sunshine Studio」。ロゴとソファのファブリックに施されたグラフィックはジェフによるもの。
「Sunshine Studio」について切り出すと「Sunshine Studioを知ってるの?それは面白いね」と満面の笑みを浮かべてくれた。街との縁の深さがうかがえるが、表参道・原宿の街について、ジェフにとってはどんな街なのかを聞いた。
「自分にとって、東京の中でいちばん良く知っている街だと思う。渋谷だけどパルコで個展をやったり、NIKEとの宮下公園(現・ミヤシタパーク)でのスケートボードイベント(「GO SKATEBOARDING DAY AT MIYASHITA SKATEPARK」:2015)のアートワークをやったこともある。日本ではこの街に関連したものを携わることが多いんだ。だから、あっちに行けばここに行けるとか、表参道・原宿エリアの土地勘が自然と身に付いた。他の街は分からないけどね(笑)」
同行している周りの人たちからも驚かれるほど、土地勘が身に付いているジェフは言わば“HARAJUKU SENSEI”だ。本人に伝えるとチームの人たちまで「まさにその通りだよ」と笑顔。
さらに原宿エリアでの思い出深いエピソードはないかと尋ねると、かつてジェフが長期に渡って取り組んでいたプロジェクトについて話してくれた。
「2年間、『MOON RUUN』っていう満月の夜にランをして記録する、個人的なプロジェクトをやっていたんだけど、満月の日付が記された小さなカードサイズのカレンダーを作って、同じように活動を共有する人を募った。そして世界中の希望者に送ったんだ。のべ、3000人くらいの人に送ったかな。その活動の中で東京にいるときにフルムーンが重なって、滞在しているホテルから娘と一緒に代々木公園に走りに行ったのが思い出深いね。」
自然との触れ合いを大切にする、ジェフならではの思い出だ。原宿という都市にいても自然を求めて、満月の下をジェフは走っていた。ジェフのアウトドアアクティビティはトレイルランや釣り、スケートにサーフィンと多岐に渡る。そのどれもが自然と向き合うもの。そこで得たインスピレーションが作品に活かされている。
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