「シンプルに、とにかくカッコいいと思った」カザマナオミさんの存在
「CATsでは10回開催ごとに、ドネーション(募金)でステッカーを制作しています。今回の100回記念では、アーティストのカザマナオミさんがCATs創設当初に作ってくれたオリジナルのロゴで制作しました。ナオミさんはストリートアートやシルクスクリーンプリントにおけるすごい人なんですけど、ナオミさんとの出会いが、CATsのクリーンアップが始まるきっかけのひとつになっています。」
カザマナオミさんは90年代後半にアメリカに渡り、ブランド「OBEY」を手がけるなど世界的なストリートアーティスト、シェパード・フェアリーからシルクスクリーンプリントを学んだという、生粋のストリートアーティストだ。
100回記念として参加者に配布されたオリジナルステッカー。カザマナオミさんによるネコの足を模したこのロゴは、活動当初から使われており、CATsのテーマ「CATs ACT DIFFERENT」を可視化した活動の原点となるアートワーク。
今から9年ほど前、当時カザマナオミさんはオーガニックコットンTシャツの認知度向上や古着などのアップサイクルを促すプロジェクト「BIG O Project」の一環でパタゴニア 東京渋谷ストアにてワークショップを行っていた。元気さんは何も知らずに単純に興味本位で話しかけたそうだ。そしてカザマさんの取り組むプロジェクトについて話を聞き、衝撃を受けた。
「今ではそういったサステナブルな取り組みは当たり前になってきましたが、当時はセンセーショナルで、シンプルに、やってることも、作っているものも、とにかくカッコいいと思いました。」
ワークショップではインク代とインクの処理代、古着がなければボディ代込みの値段で、Tシャツにカザマさんがシルクスクリーンプリントしてくれる。プリント代はドネーション制で、その収益はカザマさんのアトリエがある江ノ電・江ノ島駅に、「BIG O Project」の広告を出すために使われるという斬新なものだった。
その邂逅に興奮しながら店を後にした元気さん「その時は話をして満足してしまったんですけど、よく考えたら、貴重な機会を逃してしまった気がして、僕もTシャツに刷ってもらえば良かったと後悔しましたね」と、その時の様子や心境を振り返る。
基本的なコースは決まっていて、その間自由にゴミを拾う。ゴミ袋は可燃物と不燃物の二種類あり、ゴミ拾い終了後に細かく分別する。
カザマナオミさんの活動に刺激を受けた元気さんは、やり方は違えど街の中のストリートで何らかの仕組み作りをしたいと考えた。当時はサードプレイス(=自宅や学校、職場とは別の居心地のいい居場所)が徐々に話題になっていた時期。好きなことをして、ゆるやかに社会と繋がる、居心地の良いコミュニティを街の中に生み出せないかと思い立ったのだ。
活動のきっかけを与えてくれたカザマナオミさんにそのアイデアを話したところ、「パタゴニアの人たちはそういうことやりたいと思うから、キャットストリートで顔が利くスタッフと繋げるよ」と、すぐ元気さんに引き合わせてくれた。打ち合わせや交流を経て、記念すべき第一回目のクリーンアップは地球の環境保護への支援を示す日として定められている「アースデー」(毎年4月の第3週土曜日)にて行うこととなった。それから今に至るまで基本的に第3週の土日に定期開催しているのはそのためだ。
子供から大人まで、いろいろな人が同じコースでキャットストリートを練り歩く様は、なんだかお祭りを彷彿として楽しい。
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