開催100回を迎えたキャットストリートの“ゴミ拾い”。CATs代表・中村元気さんに話を聞く
“ゴミ拾い”というと一昔前は社会奉仕活動的な何らかのペナルティだったり、強制されるイメージが強かったように思う。しかし、昨今は企業活動においてクリーンアップ(ゴミ拾い)はスタンダードであり、個人間においてもクールな行為として広い世代にポジティブに捉えられている(実際、ポジティブな行為なのは間違いない)。
世の中がサステナブルな取り組みに関心を寄せ、社会全体に浸透していく以前から、ゴミ拾いを切り口にコミュニティを繋ぎ、盛り上げてきたクリーンアップがキャットストリートにはある。キャットストリートを中心にさまざまな地域活動を展開するCATs主催のクリーンアップだ。
この活動は9年前の2013年4月から月イチで行われ、2022年6月にちょうど100回目を迎えた。音頭を取るのは「0 waste=ゴミ・無駄のない」ライフスタイルを提案する「530」代表の中村元気さん。CATsを立ち上げた張本人である。今ではOMOHARAREAL編集部のあるキャットストリート周辺で、元気さんとCATsのクリーンアップは共通言語として周知されているほどだ。編集部員も折を見て参加しているが、9年間という長い期間、地域の人に親しまれ続けられているのはなぜなのか。そもそもこのCATsのクリーンアップがどのように始まったのか。100回目のクリーンアップを終えた直後に、元気さんに話をうかがった。
コミュニケーションがいちばん大事。CATs クリーンアップが100回に至るまで
2022年6月18日(土)午前9時。この日の集合場所パタゴニア・渋谷ストア前には多くの人が集まっていた。
数々のブランド企業や商業施設が集まる“消費の街”、表参道・原宿には当然ながらクリーンアップを行っている団体が複数ある。NPO法人グリーンバードを筆頭に、そのグリーンバードと協業するかたちで、ラフォーレ周辺から表参道のゴミを拾うラフォーレクリーンキーパーズなどだ。団体でなくとも、環境保護や地域コミュニティを重んじるNYのストリートブランドNOAHの旗艦店、 NOAH CLUBHOUSEを中心に、周辺のスケートショップ・ブランドのスタッフたちが毎週自主的にゴミ拾いを行っていたりする。活動の規模や周期は異なっていても、各々が街に対する美意識、環境意識をスタンダードに持っている人たちが多いというのは、街としてひとつの大きな特徴ではないかと思う。
CATsのクリーンアップにはキャットストリート周辺のショップスタッフ以外に、渋谷区外の学生さんや他の活動団体の人たちもやってくる。小さなお子さんを連れて家族で参加する人もいたり、国籍や年齢、職業など多様な人が集まっているのが特徴だ。誰でも参加しやすい上に、ゴミを拾うことそれ自体が目的ではなく(拾わなくていいということではない)、コミュニケーションに重きを置いた和やかな雰囲気が魅力なのである。
親子連れも多く、子供が積極的に参加しているのは微笑ましい。
毎月、20人〜30人程度の人が集まるCATsクリーンアップ。CATs代表であり発起人である中村元気さんは「100回だけに100人参加が目標」とSNSで発信していたところ、本当に100人以上の人が集まった。その様子は圧巻で、掃除直後は見渡す限り、文字通りゴミひとつない景色が広がっていた。
100回目を最高のかたちで迎えたクリーンアップ活動、一体どのようにして始まったのか。まずはそのルーツを聞いた。
100回目のクリーンアップを終えて。530代表・CATs主宰の中村元気さんに話を聞いた。
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