オザケン、サカナ、きゃりー…表参道&原宿を歌った、踊りたくなる7曲
カルチャーを生み出し続ける表参道&原宿は、多くのアーティストの歌にも描かれてきた。アイドル、バンド、シンガーソングライター……。ジャンルを越えて、街は様々な視点で切り取られている。そんな「OMOHARA SONGS」を紹介するシリーズの第3弾として「踊りたくなる」7曲をご紹介。
〜踊りたくなるOMOHARA SONGS〜
1.ドアをノックするのは誰だ?/小沢健二(1994)
2.裏表/KICK THE CAN CREW(2004)
3.Harajuku Girls/グウェン・ステファニー(2004)
4.表参道26時/サカナクション(2010)
5.大人Guyz/V6(2013)
6.原宿いやほい/きゃりーぱみゅぱみゅ(2017)
7.HARAJUKU TIME BOMB/E-girls(2017)
1.ライブ会場を一つにする“ドアノック・ダンス”とは?
「ドアをノックするのは誰だ?/小沢健二」(1994)
自身の所属事務所「ドアノックミュージック」の由来ともいわれるこの曲。1994年にアルバム『LIFE』、同年に12インチシングル「ラブリー」のB面に収録された後、1995年にこの曲を表題にしたシングルが改めてリリースされた。
「寒い冬にダッフル・コート着た君と/原宿あたり風を切って歩いてる」という情景が自然と目に浮かんでくるような、気味良いリズムと伸びやかなストリングスサウンド。ライブでは、この曲に合わせてみんなで“ドアノック・ダンス”を踊るのがお馴染みだ(当時発売されたシングルの裏ジャケットには振り付けを解説するイラストが載っていたとか)
“渋谷系”の代表格として語られることも多いオザケン。「ドアをノックするのは誰だ?」がリリースされた当時、彼はファッションアイコンとしてカルチャーシーンをリードする存在だった。YouTubeやサブスクの普及により“昔流行った音楽”が改めて注目される今。一時代のカルチャーシーンを彩ったオザケンは、若い世代にかえって新鮮に映るのではないだろうか。
2.KREVAもバイトしていた!? 原宿にあったヒップホップファンの“聖地”
「裏表/KICK THE CAN CREW」(2004)
KREVA、LITTLE、MCU の3MCによるヒップホップグループ。活動休止と再始動を経て、現在も日本のヒップホップシーンの第一線で活躍している。この曲は、そんな彼らが活動休止を発表する直前にリリースされたアルバム『GOOD MUSIC』の収録曲だ。
曲の冒頭、KREVAのパートにて「裏のほう 表参道/CRIB ROCK-Tee」という歌詞が出てくる。かつて原宿(=裏のほう 表参道)には、ヒップホップDJ・ROCK-Teeがオープンさせた「CRIB」というショップがあり、若かりし頃のKREVAもそこでバイトしていたのだとか。歌詞には「生意気なオレを許してくれた」「綺麗にちゃんとたたんでく商品/何かをちゃんと学んでく時」「表参道の裏側にひっそり/マスターのチャリがピットイン」といったフレーズも登場。ファンならば、その姿を思い浮かべるだけで胸熱なのではないだろうか。
3.2000年代、海外から見た原宿ってこんなかんじ?
「原宿ガールズ/グウェン・ステファニー」(2004)
グウェン・ステファニーはアメリカの歌手。親日家として知られる彼女は、日本文化からインスパイアされた楽曲をいくつか発表している。
「原宿ガールズ」は、それまでロックバンド「ノー・ダウト」のボーカルとして活躍していた彼女の初のソロアルバム『ラヴ.エンジェル.ミュージック.ベイビー. 』に収録。歌詞には「hoko-ten(ホコ天)」「catwalk(キャットウォーク)」「Yoji Yamamoto(ヨウジヤマモト)」「Hysteric Glamour(ヒステリックグラマー)」といった“原宿”を思わせるワードが散りばめられている。
ソロ活動にあたって、グウェンは当初日本人および日系アメリカ人の女性4人を、ライブやミュージックビデオなどのバックダンサーに起用していた。余談だが、そのなかの一人には、後に世界的ダンサーとして活躍し、K-POPグループ・少女時代の“美脚ダンス”を生み出すことになる仲宗根梨乃がいる。
4.ノリノリなサウンドを裏切る、しっとりした歌詞の世界
「表参道26時/サカナクション」(2010)
サカナクションらしいこのダンスナンバーは、アルバム『kikUUiki(キクウイキ)』に収録されている。アルバム曲ながら「この曲が一番好き!」というファンも多いようで、いざライブで演奏されたならば会場のボルテージは一気に上昇する。
作詞作曲を担当したボーカル・山口一郎はとあるインタビューにて、この曲について「昭和やバブルを想像した」と語っている。キャッチーなメロディとは裏腹に綴られる「つまりは心と心/絡み合って切れた」「意味もないのに/左手で書いた名前」「苦笑いして/握りしめた手には汗/表参道の26時が過ぎてく」「246/左折/そう聞こえた/246/左折」という歌詞。ノリノリで気持ちよく聞いていたつもりが、実は別れを予感させるような、しっとりとした表参道の“夜”の一場面が描かれているのだ。
5.表参道&原宿で“大人買い”しちゃいなよ
「大人Guyz/V6」(2013)
V6の12thアルバム『Oh! My! Goodness!』に収録されているこの曲。アルバム曲ながら、ミュージックビデオも制作されている。
「yo/スーツ バッグ アウター トップ/〜(略)〜/色違いサイズ違い気にしないで/試着する前に買っちゃえ」
ラップから始まるこの曲は、買い物をテーマにした歌。
「そんな大人買いなんて当たり前」「俺ら大人/Guyz Guyz Guyz」
笑ってしまいそうなほど派手な大人買い(=大人Guyz)の様子が、リズミカルに歌われている。街の名前が出てくるのは曲の中盤。
「代官山/渋谷/裏原宿/表参道のコース一周」
表参道&原宿は“買い物の街”として登場するようだ。
6.これぞ原宿カルチャーの世界観! ポップと狂気が渦巻くお祭りソング
「原宿いやほい/きゃりーぱみゅぱみゅ」(2017)
“原宿カルチャー”のアイコン的存在・きゃりーぱみゅぱみゅ。CGで作り込まれたポップなMVで彼女が踊る「いやほいダンス」は、YouTubeなどの「踊ってみた」動画でも話題になった。
「原宿でいやほい/とりあえずいやほい」というサビが印象的なこの曲は、ライブでも特に盛り上がる曲の一つ。リリース時のインタビューでは、きゃりー自身も「お祭りソング」と称している。
ポップと狂気に満ちたMVは“原宿カルチャー”そのもの。自身が扮するバックダンサー「IYA」と「HOI」の衣装は海外から見た“原宿の女の子”のイメージで作られたそうで、カラフルな色使いや大きなリボンが特徴的だ。
7.“交差点”の広い空に抜けるようなアップチューン
「HARAJUKU TIME BOMB/E-girls」(2017)
E-girlsにとって4枚目のオリジナルアルバム『E.G. CRAZY』に収録されている曲。作詞はLDH所属アーティストの楽曲を多く手掛け、自身も同事務所に所属する小竹正人が担当した。
「HARAJUKU Culture Watcherでいたい/HARAJUKU Culture Catcherでいたい」と、キャッチーなサビから始まるアップチューン。歌詞は全体を通して原宿の街が舞台になっているのだが、注目すべきは曲の後半。
「高い建物あんまりないから/空を広く感じる交差点」というフレーズが登場する。
この“交差点”とは、おそらく表参道の起点にあたる「神宮前交差点」のことではないだろうか。シンボルであるケヤキ並木の景観を守るため、渋谷区は近隣に建設する建物の高さを最高30mに制限する取り組みを行っているのだ(表参道 - 100年の歴史を背負う街のシンボルストリート)
意外なところで、表参道にまつわる条例に触れることになった。
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様々な視点で歌の世界に登場する表参道&原宿。曲の数だけ、そしてそれを聴く人の数だけ、この街ではドラマが生まれている。
「踊りたくなる曲」を紹介した第3弾。ライブに行けなくてもフェスに行けなくても、大音量で聴いているうちに少しは気分が満たされるかもしれない(もちろん周りの迷惑にならない程度に…!)
次回は「昭和の哀愁漂う曲」を紹介!
Text:OMOHARAREAL編集部