
槇原敬之、斉藤和義、KAN…表参道&原宿を歌った、心が元気になる8曲
カルチャー、トレンド、恋に友情、様々なものを生み出し続ける表参道・原宿は、多くのアーティストの歌にも描かれてきた。バンド、アイドル、シンガーソングライター……。ジャンルを越えて、街は多様な視点で切り取られている。そんな「OMOHARA SONGS」を紹介するシリーズの第1弾として「心が元気になる」8曲をご紹介。
〜心が元気になるOMOHARA SONGS〜
1.原宿キッス/田原俊彦(1982)
2.遠く遠く/槇原敬之(1992)
3.乙女 パスタに感動/タンポポ(2000)
4.あさってはSunday/RAG FAIR(2002)
5.表参道/斉藤和義(2010)
6.1986/JUN SKY WALKER(S)(2013)
7.表参道/KAN(2015)
8.アイ ラブ ジョージ!/吉本新喜劇ィズ(2017)
1.80年代、原宿はギラギラモード
「原宿キッス/田原俊彦」(1982)
昭和のスーパーアイドル・トシちゃん9枚目のシングル。当時21歳、ド派手な演出の中でキレキレのダンスを披露するテレビの中のトシちゃんに、たくさん女の子たちが熱視線を送ったことだろう。
「原宿キッス」がリリースされた80年代、原宿には「竹の子族」「ローラー族」など、様々なジャンルの若者が入り乱れていた。曲の中では、原宿の交差点で見かけたポニーテールの“あの娘”を「待ちぶせして/お茶しないと/まじめに迫」ったり、「土曜日のストリート」で「男の視線がヤリ合」ったり、全体的にギラギラモードである。
スーパーアイドル・トシちゃんは、まさか「恋し恥ずかし/原宿キッス」なんてできないだろうし、当時原宿にいた若者たちにも、歌詞に描かれているような刺激的な出来事はそうそう起きなかったかもしれない。しかしキラキラしたトシちゃんが作り出す3分25秒の世界は、多くの人を引き込む魅力にあふれていたのではないだろうか。
2.故郷を離れて頑張る人へ
「遠く遠く/槇原敬之」(1992)
タイトルでもある「遠く遠く」という歌い出しが印象的なこの曲は、1992年発売のアルバム『君は僕の宝物』に収録。マッキーの代表曲の一つだが、意外なことに、現在に至るまでシングル化はされていない。
遠く故郷を離れて暮らす“僕”は「外苑の桜は咲き乱れ/この頃になるといつでも/新幹線のホームに舞った/見えない花吹雪思い出す」という。外苑エリアの桜並木を眺めながら、上京した日のことを思い出しているのだろうか。
実際に、マッキーが故郷に住む友人を思って作ったともいわれるこの曲。「元気かどうかしんぱいです。」「いつでも帰ってくればいい」と心配されながらも、最後には「力いっぱい 輝ける日を/この街で迎えたい」「僕の夢をかなえる場所は/この街と決めたから」という決意の言葉で締めくくられている。
表参道&原宿は、たくさんの人が新しいことにチャレンジしている街だ。“僕”と同じように故郷を離れて頑張る人には、特に力を与えてくれる一曲だろう。
3.ありふれた日常、最高!
「乙女 パスタに感動/タンポポ」(2000)
タンポポはモーニング娘。から派生したユニット。この曲がリリースされた当時は飯田圭織・矢口真里・石川梨華・加護亜依の4人で活動していた。
曲の中に登場する“乙女”は「お昼休み/スープパスタに感動」したり「張り切った日/ヒール履いて大ドジ」したり忙しい。いいことも悪いことも、どれもが聴いている私たちの身に明日にも起こりそうな、ありふれた日常の一コマだ。
そんな日常の一つとして、乙女は「7のつく日/原宿で恋占い」する。原宿にお出掛けしても、仕事に行っても、家に帰っても、この歌の中では特別ドラマチックなことが起こるわけではない。しかしこの歌を聴いているとなぜか「そんな日常もいいじゃん」と思えてくるのだ。
4.ドラマ主題歌にもなった1曲。二人の素敵な思い出、どこで作る?
「あさってはSunday/RAG FAIR」(2002)
6人組の男性アカペラボーカルグループ、RAG FAIRによる4枚目のシングル。2002年秋に放送された、薬師丸ひろ子主演のテレビドラマ『ママの遺伝子』の主題歌に起用された。
恋する“僕”は、2日後に訪れるSundayに“あなた”とどこに行こうか考えている。「let’s go to the park? 表参道? 海はどう?」とウキウキだ。ミュージックビデオには、同潤館の前で楽しげに歌うメンバーたちの姿もところどころに描かれている。
結局「私、星空が見たいな…」と言われてしまうのでおそらく表参道には行っていないのだが、「二人の素敵な思い出作る」のにふさわしい、魅力あふれる街として表参道が登場しているのだろう。
5.ケヤキ並木の冬を彩った、イルミネーションの公式テーマソング
「表参道/斉藤和義」(2010)
斉藤和義14枚目のアルバム『ARE YOU READY?』に収録されているこの曲。毎年恒例「表参道イルミネーション」2010年の公式テーマソングに起用されたとあって、歌詞には「ゆるやかな坂道のケヤキ並木」「鳥居」といった、表参道を彷彿とさせるワードが散りばめられている。
やさしいメロディと歌声は、冬の寒空の下でじんわりと心に染みそうだ。当時はスマートフォンとイルミネーションの連動によって曲を視聴できる企画なども実施されたそうで、訪れた人たちの年末のひとときを温かく彩ったことだろう。
6.“ホコ天”で夢中にライブをしたあの頃
「1986/JUN SKY WALKER(S)」(2013)
80年代後半〜90年代前半にかけて、ブルーハーツやユニコーン、THE BOOMらとともにバンドブームを牽引したジュンスカ。そんな彼らは“ホコ天”出身バンドとしても知られている(かつて原宿には歩行者天国=ホコ天があり、路上ライブも盛んに行われていた。ホコ天について詳細はこちら→(原宿のホコ天「復活してほしい」72% 渋谷区長も復活を狙うが実現なるか【OMOHARA総研】)
「1986」は、解散と再結成を経て2013年に発表されたアルバム『FLAGSHIP』のラストを飾る曲。86年当時の彼らを表すかのように「公園通りを上っていくと/夏を告げる風が吹いて来た/偽物のラバーソウルを履いて/原宿を目指した日曜日」と歌われている。ここでの「原宿」とは、きっと路上ライブを行う“ホコ天”を指しているのだろう。
切なさを帯びながら、どこか前向きなイメージも感じられるこの曲。心が沈みかけそうなとき、そっと寄り添ってくれるような気がするのだ。
7.このメロディ、きっと誰もが知ってるはず
「表参道/KAN」(2015)
大ヒットナンバー「愛は勝つ」で知られるKAN。そんな彼が2015年にリリースしたシングル「桜ナイトフィーバー」のカップリングが「表参道」だ。
曲を再生してみると、どこかで聴いたことのあるイントロが。実はこれ、フレンチポップスの名曲「オー・シャンゼリゼ」の“替え歌”。元のメロディに「お〜もてさんど〜」という日本語詞がのせられているのだが、その脱力感がなんとも心地いい。
KANというミュージシャンのポテンシャルを改めて感じさせられるこの楽曲。それだけでも十分楽しめるのだが、なんとレコーディングには、ギターに和田唱(TRICERATOPS)、ベースに奥田民生(ユニコーン)、ドラムにサンコンJr.(ウルフルズ)を迎えたというのだから驚きだ。
この曲を聴きながら表参道を歩いていたら、うっかりスキップでもしてしまいそうな、そんな高揚感ただよう一曲ではないだろうか。
8.表参道&原宿を舞台に、最高にハッピーな妄想が繰り広げられる
「アイ ラブ ジョージ!/吉本新喜劇ィズ」(2017)
吉本新喜劇座長・小籔千豊が率いるこのロックバンドは、吉本新喜劇座員の4人に、チャットモンチーでベースを務めた福岡晃子を加えた5人組。
そんな彼らのデビューCD『Luck book new joy play?』の1曲目に収録されているのが「アイ ラブ ジョージ!」。作詞作曲は、“渋谷系ミュージック”の永遠の王子・カジヒデキが担当している。
ポップでキュートなこの曲の主人公は、“君(ジョージ)”と「いつか二人で/表参道風切って/腕組んで歩」くことや「アニエスやミュウミュウのフィッティングルームはパニック」「ランウェイキャットウォーク/失神者続出」になる妄想を膨らませていて、なんだかとても楽しそう。遊び心たっぷりな、ハッピーモード全開の一曲だ。
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様々な視点で歌の世界に登場する表参道&原宿。曲の数だけ、そしてそれを聴く人の数だけ、この街ではドラマが生まれているのだろう。
「心が元気になる8曲」を紹介した第1弾。沈んだ気分を持ち上げてくれる曲として、またはノリノリな気分をさらに盛り上げてくれる曲として、プレイリストに加えてみては?
次回は「センチメンタルな曲」を紹介!
Text:OMOHARAREAL編集部