■当時のホームの位置は
旧表参道駅のホームは、上記マップの黄色い丸のあたり、オレンジで書かれた「銀座線旧表参道駅」と書かれた位置にあった。現在のスパイラルやケンタッキーがある辺りに位置していたことがわかる。現在の銀座線表参道駅は、千代田線には改札内で乗り換えができるが、旧ホームが使われていた時代は一度地上に出て、別の階段を降りなければならなかった。また当時はエレベーターもエスカレーターもなく、東京メトロ全体で初めて駅にエレベーターができたのは1991年とのこと。
現在のスパイラル前出口(B1)
現在のケンタッキー前出口(B2)
当時の背景を知ると、スパイラル前の出口(B1)やケンタッキーの出口(B2)が階段しかなかったり、B1〜B3出口が現在の表参道駅から遠い場所に位置しているのも頷ける。また渋谷の方に出口は伸びているが、外苑前の方に出口が全くないのも納得がいく。昔はこの辺りが駅周辺のメインストリートだったのだろう。さらに1911年(明治44年)〜1967年(昭和42年)の間、骨董通りに都電(路面電車)が走っていたのも、このエリアに人の流れが多かったからだと予想される。
■表参道駅周辺の老舗店にも話を聞いてみた!
1935年創業 老舗和菓子店 菊家 女将・秋田さん
「当時の駅周辺には富士銀行(今のみずほ銀行)、うなぎ屋さん(今のみずほ銀行の隣)、焼き鳥屋さん(今のZARAHOMEの隣)、アンデルセン(交差点角の青山フラワーマーケットの隣 現在工事中のビル)などがあり、栄えている印象でした。今とは違い千代田線へ向かうために地上に出なければならなかったので、お店に立ち寄ることもあったのかもしれません。当時の青山通りは今の半分くらいの幅だったのですが、1964年の東京オリンピックの時に青山通りは拡張され賑わっていたと思います」
一度地上に出て千代田線へ向かう人の流れがあったことで、駅周辺は今とは違う賑わいをみせていたようだ。オリンピック以降はさらに車や人も増え、より一層盛り上がっていたのだろう。
1891年創業 老舗書店 山陽堂 遠山さん
「今では考えられないですけど、銀座線工事中に子供達が中に入れて、渋谷駅まで走って線路で遊んでいたという話はよく聞きました。また、物心ついた時から「神宮前駅」として親しみもあったので表参道駅に変わった時はとても違和感を感じたのを覚えています」
「表参道駅」しか知らない世代からすると、何も違和感を感じることはないが、1939年〜1972年と33年間も「神宮前駅」を見てきた人たちからすると急に変わった駅名に慣れなかったことだろう。