
「最高のロケ地」フォトグラファー・玉川竜が語る表参道&原宿【リレーコラム Through My Eyes】
(2016/07/22)
< profile >
玉川 竜 Ryu Tamagawa
桑沢デザイン研究所リビングデザイン科卒。デザイン事務所勤務の後、渡仏。帰国後フォトグラファーに転身。雑誌、広告等で活動中。女子美術大学非常勤講師。www.ryutamagawa.com
最高のロケ地
世の中がバブルに踊っていた80年代中期、僕は桑沢(デザイン研究所)の学生だった。
当時コーヒーが苦手だった僕が授業が終わると必ず立ち寄っていたのが、竹下通りから一本入った静かな小道に佇む紅茶専門店「クリスティー」だ。
この店の通りに面した窓際の席が大好きだった。ある日、店の前に大きな水たまりができていた。
いや、水たまりというレベルではない。先ほどのゲリラ豪雨が路上に小さな池を作っていた。
その池の向こう側に老夫婦がこちら側に来れず、呆然と立ち尽くしている。
池の水面がゆらゆらと老夫婦と原宿の街を映していて、まるで異次元の入り口のように見えた。
僕は学校の課題制作で持ち歩いていたOLYMPUSのM-1でシャッターを切った。
原宿は学生の僕にとって最高のロケ地だった。
そしてこれからもそれは変わらないだろう。
NEXT... SILVA >>
