「時代をつくる街には“変な空気”が必要だ」ファッションエディター・梶井誠が解説する表参道&原宿の歴史
(2016/07/19)
人を惹きつける街には、変な人と、変な店と、変な空気感が必要だと思う。“オモハラ”エリアが私たちに常に新しいのは、いつの時代であっても固まった既成概念を打ち砕こうとするファッションというパワーが隅々にまでみなぎっているからだ。銀座や新宿などのように“ファッションを売るだけの街”にはない魅力がある。
1975年(昭和50年)、TBS系列で『あこがれ共同隊』という当時人気絶頂だったアイドルの郷ひろみ、西城秀樹、桜田淳子が出ていた青春ドラマがあった。表参道が舞台で、郷ひろみがファッションデザイナーを目指すという内容だったが、登場する若者たちが着ていたチェックのネルシャツやサロペット(オールインワン)、スタジャン、ジーンズなどとその着こなしにはインパクトがあって、新鮮だった。
もともと、64年(昭和39年)の東京オリンピックの選手村として多くの外国人が滞在した原宿は、それから外国の雰囲気を纏ったエリアとなり、表参道は明治神宮の参道という役割から、原宿と青山というファッションの街を繋ぐ役割を担うようになった。そして、いわゆる高度成長期から“オモハラ”は新宿と渋谷に挟まれながら、六本木とも違う“変な熱気のある街”として注目されていく。
Text:Makoto Kajii