
オモハラみんなのフォトアルバム No.049
この写真は1950年代、疎開先から戻ってきて、現在も店舗を構える骨董通り(高樹町通り)沿いに「菓匠 菊家」を開店したばかりの頃の写真です。
創業時は表参道交差点の近く、現在の「スターバックス コーヒー アクセス表参道店」の場所で営業していましたが、1945年の「山の手空襲」の影響で店舗がなくなってしまいました。表参道・青山近辺にお住まいの方は、初代たちと同じく、世田谷区下馬に疎開される方が多かったそうです。疎開先でもお客様が持ち込んでくれた材料でお菓子作りを続けていたと聞いています。
この写真の手前側をよく見ると、骨董通りを走っていた都電の線路が写っています。骨董通りを走り抜けて青山通り沿い、今国連大学が建つ場所にはかつて都電の車庫があったのを思い出します。
また、骨董通りという土地柄もあり、移転当初からお近くの「根津美術館」の根津様をはじめとする茶道関係の方、外交官の方がよく店頭にお見えになっていたと、当時を知る者から聞いています。
2020年に建て替えられた、現在の建物の前の建物写真もご提供いただきました。
初代が表参道交差点近くの現スターバックスの場所、2代目が今回の写真とすると、下の写真は3代目の店舗となります。1950年代の2代目の写真と見比べてみると、格子状の引き戸や「菊家」の文字が書かれた木製の看板は引き継がれつつも、街中でなかなか見ることはなくなった瓦の三角屋根から、全体的に四角い近代的な建築に建て替わっているのがわかります。
また、聞き取りの際に教えていただいたのですが、作家の向田邦子先生が菊家さんの「水羊羹」をエッセイで取り上げているそうです。どんな味なのか気になります。毎年5月中旬頃から9月上旬頃まで販売しているとのこと。時期が来たら食べてみようと思います。
この場所の現在はこちら。
4代目となる今の店舗は綺麗なビルに。聞き取りの際に店頭を訪れたのですが、骨董通り沿いにありながらも、9階というロケーションのため、通りの喧騒が遠く離れた場所かのような静けさが印象的でした。
お菓子の用意を待っていたお客様と少しお話ししたのですが、松任谷由実(ユーミン)さんが菊家さんのモナカをSNSに投稿していたのを見て買いにきたのだと教えてくれました。いろいろな人に愛される老舗中の老舗なのだなと感じた次第です。
OMOHARAREALでは過去の表参道・原宿(オモハラ)の街の写真と思い出を集めています。『Chapter 1』〜80's(公開中)と、『Chapter 2』90's〜(2025年公開予定)にぜひご参加ください!
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