
オモハラみんなのフォトアルバム No.046
この写真を眺めながら、先代の女将が「二・二六事件(1936年2月26日)」の影響で溜池山王から帰って来られなくなった話を聞いたので、おそらく1930年代の写真なのかなと思います。現在、骨董通りにお店を構えている「菓匠 菊家」ですが、当時は青山通り沿いの表参道交差点近くにあったんです。隣は鰻屋さんで、そのもう一つ先が富士銀行(現:みずほ銀行)だったそうです。
また、下の写真の右端に写っているのは、「菓匠 菊家」を創業して間もない頃の初代。銀座の和菓子店で修行を積み、独立したばかりで当時30代だったと聞いています。店頭に「柏餅」の文字があるので5月頃なのでしょう。
この建物は空襲でなくなってしまい、世田谷区下馬での疎開後、骨董通りにお店を構えることになりました。初代と女将が当時の写真を眺めながらよく昔話をしてくれたのを思い出します。
店舗2階の半円の窓がモダンで素敵です。また、2枚の写真に共通して写っている自転車は配達用だったのでしょうか。クラシックなシルエットが今かえって新鮮ですね。
そして、歴史の授業で出てくる「二・二六事件」。そんな重大事件の影響をリアルタイムで体験した人がいることを頭ではわかっていたつもりでしたが、思い出話として登場してきたことにビックリしました。また、当時の店舗は、「山の手空襲」の影響でなくなってしまい、骨董通りへと移転したそうです。
表参道の交差点にある灯篭の黒いシミは、空襲の跡だといわれています。華やかな表参道の街に戦争の痕跡があることに驚くと同時に、歴史を語り継ぐべきだと感じた次第です。
この場所の現在はこちら。
「スターバックス コーヒー アクセス表参道店」になっています。スターバックスの店舗は細長い作りになっているのですが、それも当時と同じ区画の名残なのではないかと、菓匠 菊家の現在の女将さんに教えていただきました。当時の和菓子屋さんが現在はコーヒーショップと、和洋の違いはあれど一服に携わるお店が入居しているのがなんとも面白い巡り合わせだなと思いました。
OMOHARAREALでは過去の表参道・原宿(オモハラ)の街の写真と思い出を集めています。『Chapter 1』〜80's(公開中)と、『Chapter 2』90's〜(2025年公開予定)にぜひご参加ください!
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