今も道に残る"コミュニティ"という存在
渋谷側のキャットストリート。若者や外国人観光客で活気づいている
もともと洋裁学校が多かったというこのエリア。ファッションの感度の高い人々が集まるエリアだったに違いない。そこに出来たのが「ピンク・ドラゴン」だった。この1980年代のロカビリーファッションをリードしてきた「ピンク・ドラゴン」が建てられてから約5年後、キャットストリート一帯の整備が進められ、1990年代半ばにはストリート系や古着系のファッシンブランドがオープンし、その後、「パタゴニア」や「アーバンリサーチ」、「THE NORTH FACE」などの入るトレンドファッションブランドが立ち並ぶ現在のかたちが形成されていった。
音楽だけでなく、ファッションのトレンドも生み出してきたこのストリート。流行の最先端を走るこの場所には、意外なことにも今では珍しくなってしまった店同士のつながりが残る。聞くところによると、店のスタッフや街の人が有志で集まり、「CATs」という名で定期的にキャットストリートのクリーンアップ活動を行っているそうだ。そこで、普段はなかなか話す機会のない人と出会えるのだという。
40年前から存在する青果店では、長年通い続けるお客さんが自分の子供の話を店主に向かって楽しそうに話す。ここが原宿であることを忘れるような古き良き「コミュニティ」感に触れることのできるのも、このストリートの良いところ。
水車があちこちにあった農村時代、戦後の寅さんの下積み時代、80年代のフォークソングやロカビリーファッションにハマる若者たちが集った時代、そして外国人観光客や若者たちがショッピングに訪れるトレンド発信地となった現在。
この街の見た目は昔から比べるとだいぶ変わったようだが、この下を流れる渋谷川は今も昔も変わらず街の変遷を見守り続け、人のつながりもまた、このストリートでは変わらずに残っているようだ。
Text:OMOHARAREAL編集部