「青春の散歩道」女優・太田莉菜が語る表参道&原宿【リレーコラム Through My Eyes】
太田莉菜
1988年生まれ千葉県出身。01年にモデルデビューし、その後数々のファッション誌などで活躍。
04年には映画『69sixty-nine』(李相日監督)のヒロインでスクリーンデビュー。
以降は女優としても、映画、テレビドラマ、舞台などで活躍。
主な出演作に、映画では『ユモレス 逆さまの蝶』(06/猪俣ユキ監督)、『脳男』(13/瀧本智行監督)、『THE NEXT GENERATION パトレイバー』(全7章&長編劇場版・14/押井守監督)、『ホットロード』(14/三木孝浩監督)、『海月姫』(15/川村泰祐監督)、『テラフォーマーズ』(16/三池崇史監督)、テレビドラマでは「私という運命について」(14/WOWOW)、「ロング・グッドバイ」(14/NHK)、舞台では「怪獣の教え」(16)など。
青春の散歩道
少し気になる人目をよそに、大人ぶって買ったコーヒー(を当時飲めなかったので中身はココア)を片手に退屈で縛られた10代の日々を憂い未来に想いを馳せ巡らせる、平日の午前10時くらい。今となっては懐かしい。
太陽を背負い、制服のスカートをなびかせる心地よい風を足にまといながら散歩していた、特別な時間。でもそれは、「太田さんが学校にまだ来ていません」という学校からの親への連絡で締めくくられる。そう、ただのおサボり。学校をサボりながら自分の退屈な日々を憂い(本当は大したことなんてないのに)特別な自分に酔いしれる。それが恥ずかしくも愛おしい10代なんです。
とある日の学校へと向かう朝、表参道駅の階段を登ると、外は大雨に見舞われていた。これじゃあずぶ濡れになるなと思いながら歩いていると、前方から歩いてきた赤いチェックのボンデージスーツを着た超イケてるお兄さんが「濡れちゃうよ、あげる、僕は家に帰るだけだから」と言って傘を差し出してくれてそのまま歩き去ってしまった。
あんなにトキめいた朝って未だに過ごしたことがない。あの傘はすぐになくしてしまったけれど、、。
スパイラル前を歩きながらあのタバコ屋の前を通り過ぎる度、未だにあのイケてるお兄さんの姿を探してしまう。
たくさんの想い出のカケラが散っていて、歩く度に拾い集める。特別な私の心の通学路。
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