「僕はあなたが信用できます」
西山氏が「RÉFECTOIRE」を出店するまでには、3人のキーマンとの出会いがあった。1人目は中原慎一郎氏(Landscape Products、2人目は田辺三千代氏(TAKEO KIKUCHI元チーフプレス・旗艦店キュレーター)、そして3人目は菊池武夫氏だ。3人との出会いとその周囲の人々からの強力な後押しによって、出店の話は「怖いほど」トントン拍子に進んだという。
「最初のきっかけは、モリカゲシャツさんのトークイベントで出会った中原さんから、田辺さんを紹介されたことですね。僕が中原さんと出会った2日後に、中原さんの元に田辺さんから『プチメックの西山さんを知っていたら紹介して欲しい』と連絡があったそうなんです。偶然のタイミングに驚きつつ、改めて中原さんと田辺さんとお会いし、TAKEO KIKUCHI旗艦店に是非カフェをオープンして欲しいとお話を頂きました。唐突であまりにも良いお話だったので、騙されているのかな?と思いました(笑)」
展開の早さの背景には、カフェを検討していた田辺氏に、フランス人の友人が“日本で一番美味しいパンはプチメックだ”と話していたことがあったそう。
また、旗艦店の出店場所をこのエリアに選んだ菊池武夫氏には「可能性のある若い人と何かしてみたい」との思いがあり、その可能性を確かめるように氏は自ら京都の西山氏を訪ねることになる。西山氏は「もしかしたらあの日が最終面接だったのかも」と当時を振り返る。
RÉFECTOIREでは菊池武夫氏の誕生日パーティーが開催されるなど、親密な交流が続いている。
出典: lepetitmec.com
「あの日タケ先生(菊池氏の愛称)と奥様、田辺さんがお店にお見えになられた瞬間、あまりにお洒落でかっこよくて、店内でざわめきが起こったことを覚えています。てっきり仕事の話をするのかと思いきや、僕が聞かれたことに応える雑談を2時間ほどしました。そしてやっぱり『カフェを一緒にやりましょう』というお話になったので、『本当に僕でいいんですか?』と思わず聞いたんですね。するとタケ先生が『あなたの年齢とお店の規模で、そこまで謙虚で素直な姿勢は珍しいです。だから僕はあなたのことが信用できます。是非一緒に頑張りましょう』とおっしゃってくれて。その言葉がお店をオープンさせる気持ちの後押しとなりました」
菊池氏デザインの制服。裏地がチェックなところは菊池氏の奥様のアイデア
そうしてTAKEO KIKUCHI旗艦店の3階に、“普通のパン屋さんじゃない”「RÉFECTOIRE」がオープンすることになる。