動き出した青参道プロジェクト
2007年の秋にスタートした同プロジェクトでは、今日に至るまで数多くのイベントが開催されてきた。国内外のアーティスト作品が店内や路上に展示され、気に入った作品をその場で購入することもできるアートイベント「青参道アートフェア」をはじめ、陶器市や浴衣祭りなどを行った「青参道いちば」、映画祭と連動したラテン系のフードフェスティバル「青参道 青空LATIN RESTAURANT」などなど。イベントを通してその名が知られてきた青参道は訪れる人も徐々に増え始め、心地よい賑わいの素敵な路地裏に変わりつつある。
青参道アートフェアで賑わう路地裏
一方で、プロジェクトを通して生まれた変化はそれだけではなかった。今年で10回目を迎える「青参道アートフェア」では、イベントでの作品展示をきっかけに、活躍の場を世界へ広げたアーティストもいるという。店舗どうしの交流も盛んになり、店内で使う装飾用シャンデリアを青参道に並ぶインテリアショップで揃えたりと、昔ながらの商店街のような親しい関係性も生まれているようだ。青参道アートフェアのプロデューサーであり青参道プロジェクトの立ち上げメンバーでもある戸塚憲太郎氏は、立ち上げ当時と現在の青参道について、次のように語ってくれた。
「10年前と比べると、お店の数が増えたことで人通りも多くなっていますが、通りの雰囲気は良い意味であまり変わっていないと思います。表参道の賑わいに比べるとずいぶん静かで、この落ち着いた雰囲気は今も10年前も青参道の特徴です。アートフェアを通じて近隣店舗やお住まいの方とコミュニケーションが取れたり、皆さんが親しみを込めて『青参道』と呼んでくれることは嬉しい変化ですね。」
その言葉には、どこか我が子の成長を見守る親心のような想いも感じられた。
歩みを続ける路地裏で
青参道アートフェアでのワンシーン。店先に人々が集まって交流が生まれる
「そろそろ青参道の季節だね」。毎年秋ごろになるとそんな挨拶が交わされるほどに、青参道アートフェアは近隣界隈の風物詩として知られるようになった。10年前に愛称を授かったかつての名もなき路地裏は、今や『青参道』の名のもと多くの人々に愛着を持たれ、人懐っこい商店街のような性格を持ちつつある。人と人、店と店、時にはアートも織り交ぜながら多彩な風景を生み出す青参道。すくすくと成長を続けるこの道は、この先もきっと素敵なシーンで彩られていくことだろう。
Text:Yuya Tsukune(OMOHARAREAL編集室)